2007年11月27日(火)「しんぶん赤旗」

シリーズ 命と暮らしの焦点 日本共産党国会議員に聞く

米価暴落

政府米 買い増しへ

――農家の悲痛な声示し対策実現

紙智子 参院議員


 生産者米価が暴落し、稲作農家は経営難に追い込まれています。「これでは続けられない」との声にこたえ、緊急対策に尽力した日本共産党国会議員団農水部会長の紙智子参議院議員に農業再生の方向を聞きました。


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 ――米価暴落の政府緊急対策がでましたね。

 農家は大変な状況です。産地を訪ねると「米を作っても利益がでない」という切実な声が寄せられます。稲作農家の時給は去年二百五十六円です。今年はもっと下がっています。「こんな状況では米は作れない」とみなさんおっしゃるのです。十ヘクタール以上作る大規模農家もそうでした。

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 そんななか農民連(農民運動全国連合会)が率先して行動しました。“農水省は下落原因が余剰米だというが、百万トンの備蓄まで買い上げもせずに、備蓄米を安く放出しているではないか”と農水省に要請をしたのです。全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)の人たちが応援しました。農協の人たちも行動を起こしました。

 私が十月十七日の参院予算委員会で質問にたち、政府米を買い入れて緊急の「余剰米」対策をとれと追及したのはそんなときでした。農水省は当初、備蓄米を買い入れることによって価格を支えることはしない態度でした。私は米農家の「来年は米作りをやめなければならない」との悲痛な声を示して、買い入れを福田首相や若林正俊農水相に迫りました。農水相は百万トンの備蓄水準まで買い入れ余裕があることを認めました。備蓄米の安値放出についても市場に悪影響を与えない形で処理すると言いました。

 みなさんから「良い質問だった」と喜ばれました。その後、政府米を百万トンまで三十四万トンを積み増し、全農保管米十万トンを飼料用に処理することを決め、余剰米問題は解決する方向になりました。国会外の運動と連携がうまくできた活動だったと思っています。

 ――農業の担い手を絞る国の政策も批判の声が強くなっています。

 私たちは反対しましたが、米、麦や大豆など五品目で一定規模以上の農家や集落営農に絞って助成するという政策が今年から導入されました。「品目横断的経営安定対策」という名前ですが、経営安定にならないことがはっきりしました。

 制度に乗った大規模な麦・大豆農家も去年より減収になるといっています。集落営農は五年後の法人化が条件ですが「経営が厳しくめどがたたない」といいます。まして対象外の農家は麦や大豆は作れません。心配したとおり農家は意欲が持てないし、先進国では例がない39%という食料自給率がますます低下します。

 与党では選挙を意識して一部見直しするといいます。しかしそもそも構造的な問題です。いったん中止して現場の声を聞き、抜本的見直しをする必要があると思います。

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 ――農業再生、自給率向上の抜本策は。

 私たちは、農産物価格保障と農家所得補償を組み合わせる政策を一貫して主張してきました。米の場合、市場価格と生産費との差額を国が助成します。不足払いといいますがアメリカで実施しています。ほかの穀物も自給率を上げるためにも価格保障が必要です。

 所得補償では、条件不利地域を対象に面積に応じて農家に直接支払いをしています。これを平場地域にも広げるようにします。環境や文化など農村がもつ多面的機能の保全のためにも大切です。

 自民党も民主党も所得補償路線は一致しています。しかしさらなる輸入自由化を前提にどれだけ財政補てんすればいいのか、という観点で議論しています。

 今国会に提出された民主党の戸別所得補償法案については、輸入規制措置が守られていれば農家には役立つものなので私たちも賛成しました。

 輸入食料の値上がりが続いていますが、世界の食料不足は深刻です。バイオ燃料用や輸入国で食料を奪い合いあい、輸出国も不足になれば輸出しません。日本は安定供給ができない恐れもでています。輸入自由化で日本農業をつぶすのはもってのほかです。安全・安心な食料は自国で作るという食料主権の立場で、生産意欲がでる政策に転換するときです。

 聞き手・中沢睦夫

 写 真・林 行博


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