2007年11月24日(土)「しんぶん赤旗」

額賀財務相の口利き疑惑

知らぬでは通らない

元防衛施設局長が告発

高圧的に「業者どうした」

昨年、本紙に証言


 防衛省に絡んだ疑惑続出の額賀福志郎財務相(元防衛庁長官)。なかでも太田述正(のぶまさ)元仙台防衛施設局長(58)が告発した、防衛施設庁の発注工事をめぐる口利き疑惑は重大問題です。ところが額賀氏は「そういうことは全くない」と全面否定しています。しかし、太田氏の告発は、知らぬ存ぜぬでは通らない説得力のある内容です。(森近茂樹、阿曽隆)


 太田元局長が額賀財務相の口利きを告発したのは、今回が初めてではありません。

 昨年七月、太田氏は本紙の取材に匿名を条件に、額賀氏など防衛庁長官経験者四人を含む国会議員ら十一人の口利きを証言していました。

 そのなかでも太田氏が詳細に語った一つが、額賀氏の口利きでした。内容は、今回の実名で語ったものと同じで、一貫性のある証言です。

 当時の記者の取材メモには、太田氏が額賀氏の口利きを部下から報告を受けた場面をこう記しています。

 ―二〇〇〇年三月二日、(仙台施設局の総務課の部屋で)建設部長が憤慨して私(太田氏)も含め、多数の前で話した。

 額賀(官房副長官=当時)が守屋(武昌前防衛事務次官、当時は官房長)に「山形の業者を口添えしているのに、どうしたのか(中略)」とかなり高圧的に話した。それで本庁の技術審議官が説明に出向くことになった。

 太田氏の証言は、具体的でリアルなものでした。さらに他の政治家の口利きについても根拠がある話でした。

 証言の基になったのは、太田氏が二〇〇〇年七月七日と十一日に部下に命じ、仙台施設局発注工事や米軍三沢飛行場周辺の用地買収にからむ口利き事例をまとめさせたリスト。

 本紙が太田氏の証言をもとに取材すると、口利きを依頼したとされる側の人物はすべて実在が確認できました。青森県三沢市の会社社長は、リストに記載があったとされる元防衛庁副長官へ、農地買収にからんで依頼をしたと認めています。

 本紙はこれを二〇〇六年八月十九日付で詳しく報じています。

日記は語る

 額賀氏は、太田氏の証言について「情報源は日記だけ」だと、信ぴょう性に言いがかりをつけようとしています。しかし、太田氏が公開した日記は、詳細で具体的な内容です。

 額賀氏の口利きがあったという〇〇年三月二日付の部分には、朝の出勤から夕方まで、とぎれなく一日の出来事が記載されたうえで、こう詳細に書かれています。

 「1700(午後五時)過ぎ:総務課内でカニ等をさしみにビール、大吟醸。その間、額賀官房副長官から官房長に、山形の××(業者名)の口添えをしているのに、動きが悪いとのクレームが入ったと建設部長が言ってきた。(中略)『ブルータス、お前もか』と言いたくなる」

 さらに三月十四日付にも。

 「山形県の××が挨拶に来た。例の額賀議員がらみの話。建設部長から、本庁技術審議官より、丁重な対応をと言われているとの話があった。(中略)額賀氏の秘書の××(実名)氏から、局の局長のところに顔を出せといわれた。純朴そうな人々。懇談」

 これでも額賀氏は、口利き疑惑を否定し続けるつもりなのか。こうなったら国会の場へ、証人として出頭してもらうしかありません。


 額賀財務相の口利き 今月二十日、太田述正元仙台防衛施設局長が「額賀氏側から特定業者を入札で指名するように圧力があった」と告発。元局長によると、口利きがあったのは一九九九年四月二十三日と二〇〇〇年三月二日の二回。仙台防衛施設局発注の建設工事の入札にからみ、額賀氏から山形県内の業者を指名するように要請をされたと部下から報告をうけたといいます。


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