2007年11月22日(木)「しんぶん赤旗」
額賀氏 疑惑の山
防衛省をめぐる問題に国民の注目が集まるなか、額賀福志郎財務相(元防衛庁長官)の疑惑が次々と飛び出しています。「ほとんど会ったことがない」はずの軍需商社「山田洋行」元専務の宮崎元伸容疑者とゴルフをし、同社からパーティー券の購入を受けていたことまで明らかになりました。さらに、防衛施設局発注工事をめぐる口利き疑惑まで―。(軍事利権取材班)
宴席
「(宮崎容疑者との宴席にいたのは)久間先生と額賀先生ではなかったかと思う」「額賀先生とのあれ(宴席)ははっきり覚えてまして」
守屋武昌前防衛事務次官は、自身が出席した宮崎容疑者との宴席に、額賀氏と久間章生元防衛相がそれぞれ一回ずつ同席していたと証言しています。
守屋証言によると額賀氏参加の宴席はジェームズ・アワー元米国防総省日本部長の来日時に行われました。「神田の料亭だったと思うが、(アワー氏と)集まったところに行ったら、宮崎さんが来て、それから額賀先生が来た」(十五日、参院外交防衛委員会の証人喚問)といいます。
お車代
山田洋行オーナーの娘の結婚式に招待された際、「お車代」をもらっていました。
額賀氏が代理人の弁護士を通じて、本紙の質問に寄せた回答によると、結婚式に招待されたのは二〇〇五年十月中旬ごろ。宮崎容疑者が案内状を持参し「山田家のお嬢様なので、ぜひ、ご出席いただきたい」と求め、お車代「二十万円くらい」を置いていきました。額賀氏側は同額を結婚式に代理で出席した妻が「御祝儀」として返したとしています。
口利き
太田述正元仙台防衛施設局長(58)が「額賀氏側から特定業者を入札で指名するように圧力があった」と告発。
元局長によると、口利きがあったのは一九九九年四月二十三日と二〇〇〇年三月二日の二回。仙台防衛施設局発注の建設工事の入札にからみ、額賀氏から山形県内の業者を指名するように要請をされたと部下から報告をうけたといいます。
当時の元局長の日記には「額賀官房副長官から官房長(守屋氏)に、山形の××(業者名)の口添えをしているのに、動きが悪いとのクレームが入った」などの記述がありました。
パーティー券
山田洋行からパーティー券代の提供を受けていたことも判明。現在明らかになっているだけでも、〇二年から〇七年で二百二十万円です。一枚二万円の券を毎回、十枚購入してもらっていたといいます。このうち四回のパーティーは防衛庁長官時に開催していました。
額賀氏によると「山田洋行は、年四回のパーティーのうち三回を招待するのが通例」(十九日、参院決算委員会)でした。
ゴルフ
宮崎容疑者と、一緒にゴルフもしていました。三年前、友人に誘われてゴルフに行った際に、「一回限りプレーをしたことがある」(二十日、閣議後の会見)と認めました。
ゴルフ場は「山田洋行が関連しているクラブ」でしたが、当時は全く知らなかったと弁明。「会費は二万円を友人に渡した」とした上で、「何の問題もない」と述べています。
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軍事利権の徹底追及を
北海道イラク自衛隊派兵差し止め訴訟弁護団、佐藤博文弁護士の話 国民の不安をあおって、利益に結びつける“ビジネス”の最たるものが戦争、軍事政策だ。そこで当然、政策を握る政治家と軍需企業の結びつきがうまれる。
ゴルフや宴会など、とんでもないことだ。見返りを求めない企業の営業活動、接待などありえない。問題ないという額賀氏の弁明は通用しない。
いったいどれだけのカネが政界に還流しているのか。額賀氏の証人喚問を含め、時間をかけた、徹底した追及が必要だ。タブーとされてきた軍事利権に迫ってほしい。