2007年11月13日(火)「しんぶん赤旗」
主張
特措法案採決強行
訪米土産用の暴挙に抗議する
自民党と公明党が衆議院の委員会で新テロ特措法案の採決を強行したことにつよく抗議します。
自衛隊のインド洋での給油活動の全容はいまだに解明されず、日本の油がアフガニスタン国民の虐殺やイラク戦争に使われていた疑惑もあいまいなままです。守屋武昌前事務次官をめぐる防衛利権の究明はこれからが正念場というときです。福田康夫首相の訪米の土産にするため、日本共産党など野党の徹底審議要求に背を向け、採決を強行するなどもってのほかです。自民・公明両党の責任がきびしく問われます。
戦争支援は変わらない
新テロ特措法案は、アメリカのアフガニスタン「報復戦争」を支援する“報復戦争支援法”です。インド洋からアフガニスタン空爆を実施する米艦船に日本が実施してきた給油支援が、新テロ特措法案のもとでも可能だと政府は明言していることでもあきらかです。
日本共産党の赤嶺政賢議員が空爆を行う艦船に給油できるのかとただしたのにたいし、町村信孝内閣官房長官は、アフガニスタン作戦の活動にあたっていれば「問題はない」と答弁しました(十月三十一日)。罪のないアフガニスタン民間人にたいする無差別殺りく支援を「問題ない」などというのは人道的見地からみてもとうてい認めることはできません。「武力の行使と一体化」した支援は憲法違反という政府見解にてらしても、新テロ特措法案が憲法違反の法律であるのはあきらかです。
日本の油をイラク作戦に転用している問題も大きな問題として残ったままです。米軍はインド洋で、アフガニスタン作戦、イラク作戦、海上安全活動を一体にした軍事活動を行っています。政府が「複数の任務をもっている艦船への給油もできる」という以上、アメリカ政府と口裏をあわせて海上阻止活動に使うと政府がいくらいってみても、イラク作戦などへの転用はこんごも続くことになります。
新テロ特措法案は、テロの根絶どころか、テロを世界に拡散し、アフガニスタンでのテロと武力報復の悪循環を助長する“テロ根絶逆行法”にほかなりません。七年にわたる「報復戦争」は、戦争ではテロをなくせないことを教えました。それどころか戦争が国際社会の人道・復興支援を妨げる障害物だと世界の人道支援団体が共通して告発しています。
日本政府はアフガニスタンを深刻な状況にしている元凶が「報復戦争」の継続にあることを認めようともしていません。福田首相は、日本共産党の笠井亮議員にたいして、多くの民間人がまきこまれていることを認めながら、戦争を「いま続けることは意味がある」といっています(十二日)。
民生支援と戦争継続は両立しません。アフガニスタンでは「平和と和解のプロセス」が始まっています。福田首相は「和平のプロセスは賛成」といっています。それなら、戦争はやめさせるべきだし、戦争支援をきっぱりやめるべきです。
参議院で廃案に
参議院の審議で大事なことは、戦争ではなく、テロを根絶するための政治的とりくみについての道理ある道筋と日本の外交的役割をほりさげ、新テロ特措法案を廃案においこむことです。さきの参議院選挙で与野党の議席数を逆転させた国民の意思をいまこそ生かすべきです。
参議院での状況の変化を生かし、国会と国民運動が一体になればテロ新法を廃案にすることは可能です。