業者同席５０分

次官室で商社元専務・米国メーカー重役と

深まる便宜供与疑惑

　「接待が自衛隊員倫理規程違反との認識はあった。癒着と見られる事態をおこしたことは申し訳ない」―。防衛関連企業がらみの接待、便宜供与疑惑の焦点となった守屋武昌前防衛事務次官に対する、二十九日の証人喚問。前次官は新たに、軍需商社「山田洋行」元専務の宮崎元伸氏と米国のメーカー重役との三者で長時間、次官室で会談したことなどを証言しました。元専務側への便宜供与を「一切ない」と否定したのとは裏腹に、疑惑はさらに深まったかたちです。

（写真）喚問中、補佐人と話し合う守屋武昌前防衛事務次官（左）＝２９日、衆院テロ特別委

　山田洋行側による接待は「十年以上前から」と証言した前次官。同社は米企業ゼネラル・エレクトリック社（ＧＥ）の日本代理店でした。防衛庁はこのＧＥ社製のエンジンを、航空自衛隊の次期輸送機用ＣＸに採用することを決めています。

　このことを決めた二〇〇三年八月の同庁の装備審査会議について、民主党議員から「議長はだれだったか」と問われた前次官は「私です」と証言。重ねて「ＧＥの代理店は山田洋行だと知っていたのか」と問われると証言に窮し、背後の補佐人に助言を求めました。

　委員長から「助言は証言を拒絶する場合でないと認めない」と遮られると、十秒前後の沈黙の後、「承知していなかった」と述べました。

　元専務はその後、山田洋行経営者側と対立し、〇六年九月に同業会社「日本ミライズ」を設立しています。今年七月、前次官は部下に対し「そこから買えばいい」とミライズ社との随意契約を促す発言をしたと報じられています。

　証人喚問で前次官は「昨年十二月、次官室でＧＥの防衛担当社長と会った」と証言。「元専務も同席したか」と問われ、「おられたと思う」と述べました。当初は「十五分程度の表敬訪問。話の内容に記憶はない」としましたが、省内の記録から五十分間会談していることを指摘されると「時間について記憶はない。（契約についての）話は一切していない」と語りました。

　ミライズ社との随意契約を促したとされる問題では「今年六月に担当者から、運用方針が変わってすべて一度は一般競争入札を行うようになったと言われ、納得した。ミライズにやらせろと言ったことはない」と否定しました。