2007年10月30日(火)「しんぶん赤旗」
備蓄米買い上げ緊急対策
農民の運動と共産党国会追及
政府を動かす
農水省が二十九日、生産者米価の暴落対策として、三十四万トンの備蓄米を買い上げるとの緊急対策をうちだしました。「このままだと稲作は二、三年後には放棄する農家が続出する」という声、運動が政府を動かしたものといえます。
平均的な稲作農家は、米を六十キロつくるため物財費や労賃をふくめ昨年の場合、一万六千五百円が必要でしたが、販売価格は四千円も下回りました。労賃は最低賃金の半分以下の時給二百五十六円になっています。
ここに今年の米価続落が追い打ちをかけました。全農(全国農協連合会)は農家の手取り相場となる前渡し金六十キロ七千円を打ち出しました。豊作でもないのに「過剰作付けによる余剰米がある」というのが理由です。一気に相場が崩れ、地方の農協は積み増ししたものの農家の手取りは一万円そこそことなりました。
この事態にたいし「一刻も放置できない。緊急対策をとれ」と声を上げたのが、農民連(農民運動全国連合会)を中心とした生産者と、支援する全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)の労働者、女性団体の人たちです。
備蓄米は政府が決めた水準でも百万トンが必要です。ところが七十万トン程度に推移していました。百万トンまで買い上げ、下落対策をとれと集会を開き、農水省と交渉しました。これが一気に世論となり、農協系団体も声を上げ始めました。農民連がトラクターデモをして世論に訴えた新潟県では、農協ぐるみで米価安定対策を求める緊急署名を開始。この声に押され、自民党は対策委員会を設置し見直しを始めました。
日本共産党の紙智子参院議員は十七日の国会質問で政府に備蓄米の買い入れを迫り、農水省に検討を約束させました。農民、国民の声と運動が政府を動かしたといえます。
今回の決定はあくまで緊急対策です。再生産を保障する価格保障と所得補償をくみあわせた対策が必要です。(中沢睦夫)