2007年10月30日(火)「しんぶん赤旗」
これが守屋氏の誠実さか
「記憶がない」「正確に覚えていない」―。二十九日の衆院テロ特別委員会の証人喚問で、守屋武昌前事務次官の不自然、不誠実な証言ぶりが目立ちました。
接待ゴルフの回数や場所、賭けマージャンや焼き肉店での会食の様子…。「山田洋行」元専務との十一年間にわたる親密な「交際」については、すらすらと語っていた守屋氏。ところが、イラク戦争開戦直前の米空母キティホークへの給油や、当時の福田康夫官房長官や石破茂防衛庁長官からの調査指示の有無など、わずか四年前の「本職」の問題になると、とたんに言葉を濁しました。深谷隆司委員長も喚問直後に「防衛省の中心だった人の発言にしては、極めて遺憾な部分が多かった」と漏らしたほどです。
守屋氏は、ゼネラル・エレクトリック(GE)社製の次期輸送機CXエンジンの導入を決めた装備審査会議の議長を自ら務めていました。それが「山田洋行がGEの代理店だと知っていたか」と追及されると、「法律上の問題なので」「職務権限にかかわる問題なので(補佐人と)相談したい」と、うろたえながら証言を渋りました。
深谷委員長が「証言を拒絶する場合のみ相談が認められる」とたしなめると、一変して「承知していなかった」と否定するなど、いっそうの疑惑を招くような発言も少なくありませんでした。
「私の接待疑惑に対して誠実に答える」と述べた守屋氏ですが、今回の証人喚問を通じて濃厚となった疑惑は、自身が認めた自衛隊員倫理規程違反にとどまりません。守屋氏とともに接待された元防衛庁長官の実名、請託があったのかどうか、そしてイラク戦争への転用を防衛庁が承知・黙認していたのではないかなど、守屋氏が答弁を拒否したり、誠実に証言しなかった部分は、政・軍・財の不正の闇や日米軍事同盟の実態などの本質的な問題にかかわるものばかりです。
守屋氏の再喚問だけでなく、疑惑にかかわるすべての関係者にたいする証人喚問で真相を明らかにすることこそ、国民に対する責任です。新テロ特措法案の審議を行ううえで、これをあいまいにすることは絶対に許されません。(林 信誠)