2007年10月22日(月)「しんぶん赤旗」
テロ根絶に何が必要か
実情ふまえ真剣な議論を
新テロ特措法案国会本格論戦へ
志位委員長が会見
日本共産党の志位和夫委員長は二十一日、遊説先の長崎市で記者会見し、今週から始まる新テロ特措法案をめぐる本格的な国会論戦について党の基本的立場をのべました。
軍需産業めぐる政官財癒着にメスを
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志位氏は、「この問題を考えるさいには、アフガニスタンの情勢を安定させる、テロを根絶する、そのために何が求められているか、日本は何をなすべきか、その根本からの議論がなによりも大切です」と強調しました。
この六年間、テロにたいして報復戦争で対応したことが、軍事攻撃とテロの拡大という悪循環をつくり出し、この路線がゆきづまったというところにいまのアフガンの情勢の特徴があります。
志位氏は、アフガニスタンのカルザイ政権自身が、武装勢力との政治的な対話による和平を追求する方向にかじを切り替えていることを指摘。「報復戦争をやめ、政治的交渉による和平を追求する。それと一体になってこそ、貧困、かんばつ対策などの民生支援も実効あるものになる。そういう環境をつくる外交努力こそいま日本はやるべきです。政治的解決の最大の障害になっている報復戦争への支援は中止すべきです」とのべました。
政府・与党の議論の特徴について「アフガンの現状にたいする認識もなければ、テロをどうやったら根絶できるのかという真剣な吟味も対応もない。海上自衛隊の派兵、報復戦争への軍事支援にしがみつくというこの一点だけの議論だ」と批判しました。
志位氏は、守屋武昌前防衛事務次官のゴルフ接待など軍需産業をめぐる政官財の癒着の問題についても言及。
志位氏は、防衛省が次期輸送機CXのエンジンをゼネラル・エレクトリック(GE)社から購入するさい、守屋氏が接待をうけた業者を輸入代理店におしたという報道に言及し、「さまざまな接待の見返りに防衛政策をゆがめていたのではないかというきわめて深刻な疑惑が提起されている。守屋前次官の証人喚問は当然だ。この疑惑の究明をわきにおいて新テロ特措法案審議だけをすすめることは許されない。疑惑究明の道すじをつけることは最優先の課題だ」と強調しました。
また、自衛隊の装備・弾薬・燃料などを受注している軍需企業が自民党に行った献金は防衛省との契約額上位十五社の合計で、一億八千六百九十万円(二〇〇六年度)で、十五社の契約額の合計は九千七十六億円となることを紹介。「巨大な癒着の構図だ。守屋氏の問題も含めて軍需産業をめぐる政官財の癒着の構造全体に徹底的にメスをいれることが必要だ」とのべました。
原爆症認定基準抜本的見直しを
志位委員長が強調
厚生労働省が見直しを進めている原爆症認定基準について地元記者から問われた志位氏は「“被爆者が実際に体験し、現に身体に起こっている疾病・障害の事実を重視して放射線起因性を判断すべき”という立場で、認定基準を抜本的に見直すべきだ」との考えを強調しました。
原爆症認定をめぐる問題では、申請を却下された被爆者が国の却下処分取り消しなどを求めた集団訴訟で、今年七月までに原告側の主張を認める判決が六地裁で相次いで出されました。
志位氏は党としても十八日、厚生労働省に申し入れを行い被爆者の願いに応える抜本的な基準の見直しを提起したことを紹介。「自民党、民主党、それぞれ見直しの方向で動き出している。何としても前向きの結論を出して抜本見直しをしたい。被爆者の方は高齢化が進んでいるから一刻も早く新しい基準をつくらせたい」とのべました。
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