2007年9月24日(月)「しんぶん赤旗」

自然エネルギー電力

買い取り保障求める

市民共同発電所全国フォーラム閉幕 アピールで訴え


 大阪市で二日間にわたって開かれた市民共同発電所全国フォーラムは二十三日、自然エネルギー電力買い取り保障制度の創設を国に要求する集会アピールを採択して閉幕しました。

 「コストが高い」といわれて自然エネルギーの普及は遅れていますが、デンマークやドイツでは、市民参加で利用が進んでいます。和田武同フォーラム実行委員長によると、デンマークでは、総電力の18・8%(二〇〇四年)を風力発電が占めています。共同所有などで発電用風車(エネルギー生産手段)を持っている家庭は十五万戸にのぼり、家族も含めると人口の6―7%を占めるといいます。自然エネルギーの総電力比率45%(2030年目標)をめざすドイツでも、市民や協同組合所有の風力、太陽光発電が急速にすすみ、牧草地などでの太陽光発電所づくりによる雇用創出・地域活性のとりくみもはじまっています。こうした普及促進の要因の一つが、電力会社に高い価格で電力の買い取りを義務づける価格保障制度や設備経費補助制度だといいます。

 集会アピールでは、日本は二酸化炭素大幅削減に不可欠な自然エネルギー普及も進んでいないと指摘。市民参加のとりくみを促進するうえで、電力買い取り保障制度は有効であることが実証されているとして、低すぎる電力買い取り価格をもっと引き上げる保障制度の実現を強くもとめています。

 研究者や参加者からは、自然エネルギー促進法(二〇〇二年に施行)について、太陽光・風力・バイオマスなど自然エネルギーの目標(二〇一〇年1・35%)が海外の十分の一程度と低すぎることや、「年間の普及のび率が法施行前より落ち込んでいる」「促進でなく抑制法になっている」と見直しをもとめる声も相次ぎました。

 同フォーラムは二日間で、市民共同発電所にとりくむ地域住民団体や環境NGOスタッフ、研究者らのべ約三百五十人が参加しました。「市民共同発電所で元気なまち」など四つの分科会では創意あふれるとりくみを交流しました。市民参加で実現する太陽光や風力、ミニ水力などエコ発電所のネットワーク拡大もよびかけられました。

 現状では出資者の経済利益に直結しにくいにもかかわらず、全国で百八十五基(出力約一万五千八百キロワット)が設置され、出資・寄付参加者が二万人を超える規模に広がる市民共同発電所。同フォーラムでは、共同作業所や保育所・幼稚園や公立学校に地域住民の出資や寄付で市民共同の太陽光発電所を設置した経験や、過疎地に「市民風車」発電所をつくったり、環境教育や資源リサイクルと結んで地域の活性化をめざす多彩な住民運動なども話し合われました。



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