2007年8月27日(月)「しんぶん赤旗」
こちら社会部
ご用心 「貸します詐欺」
大手金融機関装いDM(ダイレクトメール)
“まず保証金を”
大手金融機関の関連会社を装って「お金を貸します」などと書かれたダイレクトメール(DM)を送りつけ、保証金名目で現金をだまし取る「貸します詐欺」の被害が後を絶ちません。多重債務者を狙って送付されており、支援団体は「DMの勧誘に応じないで」と呼びかけています。
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「応援します、あなたの笑顔 ご利用限度額1500万円まで、貸付金利2・6%〜」
今月半ば、宮崎市の六十歳代の女性の自宅に、こんなDMが届きました。差出人は「ニコスカード株式会社」。大手信販会社、三菱UFJニコスのロゴマークが印刷され、「全国のコンビニなどのATMでの返済が可能」とうたうなど、一見してニコスの関連会社と思わせます。
ありえない
女性は信販会社やサラ金に約七百万円の借金があり、返済のために借り入れを繰り返す状態でした。
「社名を見てちゃんとした会社だと思った」という女性が、DMにあった番号に電話すると、「とりあえず保証金として十五万円振り込んで」と指示されました。
女性が指示された額を振り込むと、相手から電話がかかってきました。
相手「他社の借り入れがあるので保証金不足。あと九万円振り込め」
女性「金がない」
「手持ちはいくらか」
「三万円」
「それだけでいいから振り込め」
女性はまた指示どおり振り込みますが、不信感が募り、解約を申し入れました。すると「解約にも金が必要」と言われます。女性は電話帳で「宮崎県生活と健康を守る会」を見つけ、相談。弁護士に債務整理を依頼しました。結局、計十八万円を振り込んだだけで、融資はありませんでした。
三菱UFJニコスによると、同社のグループに「ニコスカード株式会社」という会社はありません。広報担当者は「当社とは無関係。こんな低利の高額融資はありえない」と話します。
被害が急増
銀行や信販など大手金融機関を装う「貸します詐欺」の手口は、新しいものではありません。国民生活センターには、遅くとも九七年には被害が報告されています。東京都貸金業対策課によると、二〇〇五年秋に被害が急増、現在も相談が後を絶たないといいます。
こうした業者は、多重債務者のリストをもとに営業しているとみられます。年利数百―数千%の暴利をとるヤミ金融業者も、DMによる勧誘を行います。金融業者が信用情報機関に登録した利用者の情報が、名簿業者を介して流通している可能性が指摘されています。
全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会(被連協)の本多良男事務局長は「DMでの融資勧誘はまず疑ってほしい。借金で苦労している人は、新たな借り入れをするのではなく、債務整理で元本を減らす方向を考えて」と話しています。被連協(03・5207・5507)
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