2007年7月6日(金)「しんぶん赤旗」

日本共産党国会議員団総会

志位委員長のあいさつ(大要)


 五日の第百六十六国会閉会にあたって開かれた日本共産党国会議員団総会での志位和夫委員長のあいさつ(大要)は次の通りです。


写真

(写真)あいさつする志位和夫委員長=5日、国会

 みなさん、ご苦労さまです(拍手)。閉会にあたってあいさつを申し上げます。

 まず、今期をもって参議院議員を勇退される方々が三人おられます。吉川春子さん(拍手)、緒方靖夫さん(拍手)、小林みえこさん(拍手)です。それぞれが、国会での論戦、実績で、国民の立場に立った大きな足跡を残しました。同時に、三人のみなさんのそれぞれが、国会議員は勇退しますが、新しい仕事につくわけで、今後の奮闘をみんなで期待したいと思います。(拍手)

 吉川春子さんは、(埼玉)知事選挙に出馬要請されていまして(拍手)、これから知事になろうというたたかいに挑むわけですが、勝利のために奮闘されることを願い、私たちも力をつくしたいと思います。(拍手)

安倍・自公政権――政治危機に陥るもとで、「数の暴力」

 この国会は、安倍・自公政権が、坂道を転げ落ちるように政治危機に陥った国会となりました。年金問題、増税問題、相次ぐ閣僚のスキャンダルや暴言の問題、「従軍慰安婦」問題など重大問題をつぎつぎに引き起こす、事が起こった後にもまともな対応ができない。つまり首相の政権担当能力に根本的な疑問符が突きつけられているというのが、現状であります。

 そのなかで、国会では与党の「数の暴力」が横行しましたけれども、これは彼らの強さではなくて、国民にまともに説明ができないという弱さがあらわれたものにほかなりません。とくに、首相が主導して議会制民主主義の破壊が行われた。こうしたやり方そのものに国民の厳しい審判が必要であります。(拍手)

久間問題の本質――核兵器使用に反対できない自民党政治そのものが問題

 国会の最終盤に、久間(章生)前防衛相が原爆投下について「しょうがない」という発言をおこない、辞任に追い込まれるという事態が起こりました。これはもちろん辞任ですまされる問題ではありません。こういう人物を大臣にすえた安倍首相の任命責任、暴言が起こった後もかばい続けた責任――二重の責任が問われます。

 なぜ、こういう事態が起こったのか。もっと根本からいいますと、実は、核兵器使用は「しょうがない」という立場は、自民党政府自身の立場だということを、私は指摘しなければなりません。

 昨年十二月に、国連第六十一回総会が開かれました。そこで、マレーシア提案のものと、インド提案のものと、二つの核兵器使用を禁止する決議案が提案されました。二つの決議案は圧倒的多数で可決されましたが、日本政府は二つとも棄権の態度をとりました。核兵器は使ってはならないという決議に棄権する。つまりこれは、場合によっては核兵器使用は「しょうがない」という立場に日本政府自身が立っているということを示すものにほかなりません。久間発言は、こうした自民党政治の本質が現れた発言だった、だからこそ首相はこの暴言がなされても、重大問題だととらえられず、ああいうだらしない対応しかとれなかった。事の本質はここにあるということを、私は、強調しておきたいと思うのであります。(拍手)

「消えた年金」問題――積極的な提言で政府を動かす

 こうした国会において、日本共産党は、「たしかな野党」としての役割を果たし、大きな存在感を発揮して奮闘したと思います。とくに四点について、今国会の成果をのべておきたいと思います。

 第一は、「消えた年金」問題にたいして、国民の利益第一という立場から、積極的な提言をおこない、政府を動かす仕事をしてきたことです。

 とくに、五つの緊急対策を提言し、ただちにやるべき課題として、「政府が現在把握している年金納付記録を、すべての加入者・受給者など、一億人の国民にただちに通知せよ」ということを繰り返し迫りました。これにたいして自民党幹事長も「最も効果的だ」と認め、安倍首相も実施を約束しました。政府を一歩前に動かすことになりました。

 これは「日刊ゲンダイ」でありますが、「安倍首相 共産党主張 パクリ」というのが一面のトップででております。しかし、わが党の提案の方向で政府が動くことは、結構なことでありまして、私どもは著作権を主張して、ぱくられたことに文句をつけるような了見の狭い政党ではありません。この問題では党利党略ではなく、国民の利益第一で、与野党が知恵を出し合って、協力して解決しようという共産党の立場が、一番道理にかなっているということが事態の推移を通じて証明されたと思います。

 もちろん、一歩前向きに動かしたとはいえ、実施の時期の問題が残されています。今日の報道でも、この一億人への通知は来年度の課題になっているようです。それでは遅すぎる。いますぐこれをおこなうことが国民の利益にかなっていますし、「消えた年金」問題の解決のうえでも役に立つということをあらためて強調したいと思います。

ストップ貧困――正面から実態を告発し、打開の道をしめす

 第二は、国民のなかに広がる貧困問題を正面からとりあげ、その打開の道をしめす論戦をおこなったことです。

 「格差社会」が問題になっていますが、その一番の本質は貧困の広がりにあります。国会でも「格差論争」がずいぶんおこなわれましたが、貧困の問題に焦点をあてて現状を告発し、その打開を正面から提起した政党は日本共産党だけであります。

 子どもの貧困の問題、母子家庭の貧困の問題、国民健康保険証の無慈悲な取り上げの問題、「ネットカフェ難民」の問題、国民のおかれている深刻な実態を告発し、その打開の方策をしめしたのは、日本共産党ならではの論戦だったと思います。

 また、貧困に追い打ちをかける住民税大増税がいま全国で大問題になっていますが、この問題について、早くから一貫して、「逆立ち税制をただせ」という主張を続けてきたのも、日本共産党だけでした。

 そのなかで勝ち取った成果がたくさんあることを確認しておきたいと思います。たとえば「ネットカフェ難民」の問題については、実態の調査を約束させました。「偽装請負」の問題は、この間の一連の追及で厚生労働省に是正の通達を出させました。母子家庭への児童扶養手当の削減については、厚生労働委員会で全会一致で「削減は最小限にとどめる」という請願が採択されました。

 とくに、わが党が最低賃金を全国どこでも時給千円以上に抜本的に引き上げるという問題提起を、国会の場で本格的におこなったことは、たいへん大きな意義をもつものです。この主張が他党にも広がり、国政という舞台で最低賃金の抜本引き上げという問題が正面から議題になってきたということは、たいへん重要な変化でしたし、これもわが党ならではの提起だったと思います。

 貧困打開のために国民の苦しみを代弁して奮闘した、この国会でのわが党議員団の働きは、日本共産党ならではの「たしかな」ものだったと確認できると思います。(拍手)

憲法改悪の企てに打撃をあたえる二つの活動

 第三は、憲法改悪の問題です。このくわだてに正面から立ち向かい、大きな打撃を与える二つの特筆すべき活動をおこないました。

 一つは、改憲策動の中心にすわった「靖国」派を追い詰める活動です。安倍首相が三月に、「従軍慰安婦」問題で「強制連行はなかった」という重大な発言をおこなったさい、わが党議員団は首相の姿勢の追及を徹底的におこないました。論戦のなかで、国会の場で首相が「おわび」をするという場面も生まれました。「おわび」ということになると「強制連行はなかった」という発言と、ますます深刻な矛盾におちいるという事態に「靖国」派は追い詰められました。

 追い詰められた「靖国」派は、「従軍慰安婦」問題で、アメリカの新聞のワシントン・ポストに「強制連行はなかった」、「慰安婦の待遇はよかった」というでたらめな意見広告を出して、世界の怒りの火に油をそそぐ結果となり、アメリカの下院外交委員会で日本政府に公式の謝罪を求める決議が採択されるという事態につながりました。

 わが党の奮闘もあって、「靖国」派は世界で大破たんをとげつつある、というところまで追い込んできたということが確認できると思います。(拍手)

 国内では、日本青年会議所が作製した「靖国DVD」の問題をとりあげて、文科省の委託事業契約の辞退に追い込みました。子どもたちに有害きわまる「靖国DVD」が押し付けられるという事態をふせいだ。これは、わが党国会議員団の奮闘と、地方議員団の奮闘と、草の根のたたかいの共同の大きな成果ということがいえると思います。(拍手)

 いま一つは、自衛隊による違憲・違法の国民監視活動を告発したことです。わが党の告発は、多くのメディアがとりあげ、政府に衝撃を与えました。久間前防衛相は「何が悪い」と居直りましたが、それが国民の怒りをいっそう広げる結果となりました。憲法を変えて海外に武力で打って出ようとする勢力が、国内では国民を監視し、国民を抑圧しようとしている――このことを告発したことは、憲法改定反対のたたかいを前進させるうえでの、一つの貢献といえると思います。

「政治とカネ」――共産党の追及が国政をゆるがす

 第四は、「政治とカネ」の問題です。この問題の追及は、すべてが共産党の追及から始まったといっていいくらい、わが党ならではの奮闘が記録されました。

 「事務所費」の問題について、最初に追及の口火を切ったのは井上(さとし)さんの質問であり、「しんぶん赤旗」の一月三日のスクープから大きな政治問題になり、国会を揺るがす問題になりました。「緑資源機構」の問題も紙(智子)さんの追及で明るみに出ました。

 この問題で、自民、民主両党は、自浄作用を発揮できませんでした。小手先の制度いじりに逃げ込み、幕を引くというだらしのない対応をとりました。それとの対比でも、企業献金を受け取らない、政党助成金を受け取らない、清潔な党ならではの活躍が、政治を大きく動かしたということも強調しておきたいと思います。

国民の期待にこたえ、参院選で必ず前進を

 いよいよ参議院選挙です。この選挙でわが党は、「ストップ貧困、九条を守れ」――この願いをこぞって「たしかな野党」・日本共産党にと訴えてたたかいぬきたいと思います。わが党議員団は、いま衆議院九人、参議院九人ですが、九プラス九でもこれだけの国政を動かす実績をあげられたわけですから、この力がもっと大きくなれば、もっと国民の期待にこたえた活動ができることは間違いありません。

 目前の選挙で必ず前進する、そのために全党の先頭に立ってお互い奮闘することを誓い合いまして、ごあいさつといたします。ともに頑張りましょう。(大きな拍手)


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