2007年6月19日(火)「しんぶん赤旗」
年金履歴 すぐ全員に
参考人質疑 政府座長、小池氏に言明
参院厚生労働委員会で十八日、社会保険庁解体・民営化法案と「消えた年金」問題に関する参考人質疑が行われ、国民の不安にこたえるため全員に納入履歴を直ちに送るべきだとの意見が相次ぎました。
政府の社会保険新組織の実現に向けた有識者会議の佐藤英善座長は、日本共産党の小池晃議員が「申請を待つのでなく、国から納付履歴を直ちに全加入者に送るべきではないか」と質問したのに対し、「むしろやらなきゃいけない。やれば国民は今の状況が分かる」と答えました。同会議は、社保庁解体を了承したところで、その責任者の発言だけに注目されます。
佐藤氏は「三十五、四十五、五十八歳で(履歴を)送るが、今の状況は年齢に関係ない。すぐにやれるかどうかだ。やれば問題点はかなり解消できる」とのべました。
社会保障推進協議会の山田稔事務局長は、「すべての受給者、加入者に納付記録を送り、国民の不安を解消するために国が責任を果たすべきだ」と強調しました。
社保庁解体・民営化への批判も相次ぎました。
山田氏は、「今回の記録問題で、国が直接責任を持つことがいかに重要かが鮮明になった。入札によって業者が入れ替わる制度では、安定的な運営が困難になり、年金記録が流用される危険性がある」とのべました。
函館大学の磯村元史客員教授は「制度を改善せず組織をいじってもよくならない。解体すれば記録がなくなり、給付判定のノウハウが失われる」と指摘。日本総研主任研究員の西沢和彦氏は「モラルと民営化に因果関係はない。あるなら、介護保険の(コムスン)事件は起きない」と批判しました。
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