2007年5月31日(木)「しんぶん赤旗」
年金特例法案 自・公が強行採決
審議わずか4時間
衆院委で高橋議員 言語道断と抗議
自民、公明の与党は三十日、衆院厚生労働委員会で、年金支給漏れが見つかった場合、五年間しかさかのぼって受給できないとする時効を撤廃する「年金時効特例法案」を強行採決しました。同法案は、自民、公明両党が二十九日に衆院に提出したばかり。わずか四時間余の審議で、野党議員が抗議するなかの強行採決です。「特例法案」は被害者である国民に責任をおしつけるもの。しかし与党側は三十一日の本会議で、社会保険庁解体・民営化法案と抱き合わせで「特例法案」の採決を図る構えです。
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野党側は三十日の衆院厚生労働委員会で、桜田義孝委員長(自民)が開会を強行したことに抗議し、委員長不信任動議を提出。日本共産党の高橋千鶴子議員は賛成討論で、「法案の提出にあたっては、与野党が十分に協議し、審議をつくすべきだ。法案を一方的に短時間で強行することは言語道断だ」と批判しました。同動議は、与党側が反対にまわり、賛成少数で否決されました。
安倍晋三首相は同日の「党首討論」で、「消えた年金」問題について、「政府の責任者として、大きな責任を感じている」とのべる一方、社保庁解体法案を委員会に差し戻すよう指導力を発揮せよとの質問には、「委員会で決めることだ」と拒否しました。
安倍政権は、相次ぐ「政治とカネ」のスキャンダルや松岡利勝前農水相の自殺などにみまわれ、支持率は下がり、首相の求心力の低下も指摘されています。
社保庁解体法案を強行しようにも、「消えた年金」問題で国民の批判が噴出したため、「特例法案」を突貫工事で作成。慌てて採決する強行策に出たものです。
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