2007年5月30日(水)「しんぶん赤旗」

温暖化対策

米の姿勢「遺憾」

下院議長に 独環境相が表明


 【ベルリン=中村美弥子】ドイツのガブリエル環境相は二十八日、ベルリンで米国のペロシ下院議長(民主党)と会談し、地球温暖化対策でブッシュ米政権が後ろ向きの姿勢を取っていることに遺憾の意を表明しました。同環境相は、来月初めにドイツで開かれる主要八カ国首脳会議(G8サミット)で進展を図りたいとし、協力を求めました。


 ドイツはG8サミットの議長国であると同時に欧州連合(EU)議長国でもあります。EUはすでに二〇一〇年までに京都議定書で義務付けられたEUの目標を達成し、温室効果ガスを二〇年までに一九九〇年比で20%、五〇年までに50%削減する意欲的な温暖化対策を採択しています。メルケル独首相は二十四日に議会に提出したG8サミットの議題についての考えで温暖化対策を主要な項目の一つに位置付けました。

 その実現の障害になっているのがブッシュ政権です。米国は新たなエネルギー技術の導入などによって対策をはかるべきだとし、数値目標をことごとく退けています。ドイツとの協議ではドイツが米国の立場を無視していると非難し、G8サミット最終コミュニケ案に抵抗しています。

 ガブリエル環境相はこの日の会談後の記者会見で、「米政権と具体的な成果を生むことが難しいとの印象があるのは非常に遺憾だ」と発言。経済発展が著しい中国やインドに対策を求めるよりも、気候変動の原因をつくった先進国が責任を果たすことが重要だと述べ、そのためにも米国も含む先進国内で具体的な合意を目指したいとの考えを示しました。

 ペロシ氏は、「米政権が、これまでとってきたものとは異なる方策がなぜ必要なのかについて耳を傾けるよう望む」と述べ、ブッシュ政権は姿勢を改める必要があるとの認識を示しました。

 ドイツ訪問に先立ち、ペロシ下院議長率いる超党派の米議会指導者はグリーンランドを視察。「気候変動が現実のものであるという直接の証拠に接した」と述べ、「われわれは協力して解決を図らなければならない」と強調しました。



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