2007年5月16日(水)「しんぶん赤旗」
衆院本会議
イラク派兵延長案可決
共産党反対 「根拠崩れた、廃案に」
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米国内でも米軍撤退を求める世論が高まり、各国が相次いで軍隊を引きあげるなか、自衛隊のイラク派兵を二年間延長するイラク特措法改悪案が十五日、衆院本会議で自民、公明の与党の賛成多数で可決され、衆院を通過しました。日本共産党、民主党、社民党は反対しました。
採決に先立ち反対討論に立った日本共産党の赤嶺政賢議員は、(1)イラク戦争が国連憲章違反の侵略戦争であることは、すでに確定した(2)自衛隊の活動実態が「人道復興支援」どころか、まさに米軍の戦争支援だということは政府も認めざるをえなくなった(3)自衛隊が支援する米軍の占領支配は、イラクの復興にも逆行―の三点を指摘。「自衛隊派兵の根拠は、あらゆる面で完全に崩れた。法案は廃案にすべきが当然だ」と主張しました。
そのうえで赤嶺氏は、三十五年前のこの日、沖縄が米軍の直接占領から祖国復帰=日本国憲法の下への復帰を果たしたと述べ、「その憲法をかなぐり捨て、『アメリカとともに海外で戦争できる国』づくりをすすめる安倍政治を、断じて許さない」と強調しました。
自民、公明の与党は討論に立ちませんでした。これまでの衆院イラク特別委員会での審議の中で自民党の中谷元議員は、憲法九条の下での自衛隊の活動には問題点が出てきているとして、「憲法改正も含め、与野党間で議論を重ねたい」と主張。石破茂議員も「治安が維持されていなければ、人道復興のしようがない」として、現在はできない治安維持活動も可能にすべきだと求めました。
民主党は、今回の延長案に反対したものの、今後、自衛隊の海外派兵の拡大を前提に「(派兵にあたっては)わが国の主体的な判断と統制により行うこと」などを求めた付帯決議には賛成しました。
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