2007年5月15日(火)「しんぶん赤旗」

「現行制度の検証を」

教育3法案地方公聴会 懸念や要望次々


 衆院教育再生特別委員会は十四日、富山市と松山市で教育三法案に関する地方公聴会を開きました。公述人からは前回(九日)同様、教育への国の権限関与を強めることに懸念が相次ぎました。しかし公聴会終了後の記者会見(富山市内)で、自民党の大島理森筆頭理事は「地方に出向いて意見をうかがうのはこれが最後になるだろう」と述べ、採決を急ぐ考えを示しました。

富山

 富山市の公聴会では、文部科学相の教育委員会に対する「是正の要求」「指示」を新設する地方教育行政法改定案について、森雅志・富山市長が「改善の指示は現行制度でもできる。現行制度で本当に不十分なのかという検証をもっとしてほしい」と疑問を呈しました。

 八木近直・富山県教育委員長は「教委がなすべきことをしていないことはあった」と、富山県が発端となった高校の未履修問題での反省を述べた上で、「文科相の指示は、恣意(しい)的な運用がないように、極めて例外的な措置であると明確にしてほしい」と注文しました。

 日本共産党の石井郁子議員は「学校教育法改定案が、文科相の定めで学校評価を行うとしていることについて懸念はないか」と質問。西川弘・富山国際大学付属高等学校長は「私学の評価はそれぞれの学校がやっている。これからも同じようにやらせてほしい」と求めました。

松山

 松山市で中村時広市長は、法案の見直しは子どもを取り巻くさまざまな問題の「有効な解決策の一つ」とした上で、「免許更新制」の導入で新たに研修を行うことについて、市独自の研修に年二十三時間費やしており、さらに研修が加わると教師への影響が大きくなると指摘。文科相の「是正の要求」「指示」に関して、「無条件に近い形で指示できるなら趣旨が違うが、条件がつけられるのであれば現在の法律と変わらないのでは」と述べました。

 私立学校に対して「助言・援助」が可能となることについて片岡至・私立新田高校長は「私学としての建学の精神がなくなるのではないか。現状どおりを希望したい」と話しました。



■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp