2007年4月30日(月)「しんぶん赤旗」
後期高齢者医療制度 来年4月開始
75歳以上から保険料月平均6200円
75歳以上のお年寄り全員に、月平均6200円の保険料負担――。厚生労働省はいま、2008年4月から始める新しい「後期高齢者医療制度」の準備を急ピッチで進めています。
自公の法改悪で対象は千300万人
後期高齢者医療制度は自民、公明の両党が昨年強行成立させた医療改悪法の大きな柱です。七十五歳以上は、現在加入している国民健康保険や組合健保、政管健保などから脱退して、後期高齢者だけを対象にした新しい医療保険制度に入ります。厚労省は、約千三百万人が対象になると推計しています。
新制度では、現在、子どもの健康保険などの扶養家族になっていて保険料負担がない人を含めて、七十五歳以上のすべての高齢者が保険料を支払うことになります。
保険料の額は、都道府県ごとに決められますが、厚労省は一人あたり平均で月額約六千二百円(年間七万四千円)になると試算しています。(扶養されていた人は、二年間限定で月平均千五百円の措置)
年金から天引き保険証取り上げ
年金を月一万五千円以上受けている人は、保険料が年金から「天引き」されます。厚労省は、七十五歳以上の八割程度が天引きの対象になると見込んでいます。介護保険料(平均で月四千九十円)と合わせて、毎月平均一万円を超える保険料が、年金から引かれてしまうことになるのです。
重大なのは、保険料が払えない高齢者に対する保険証取り上げと資格証明書の発行を法律に明記したことです。資格証明書が発行されると、窓口で十割負担をしなければなりません。これまで七十五歳以上の人には発行していなかったものを、「公平性の確保」を理由に改悪しました。
70―74歳の負担1割から2割に
六十五―七十四歳の高齢者は、いままでどおり現役世代と同じ医療保険に加入します。
ただし、国保に加入している六十五歳以上の高齢者世帯は、〇八年四月以降は国保料が年金から天引きされます。「保険料の納付率の向上が期待できる」(厚労省)というねらいです。
さらに七十―七十四歳は、病院窓口での支払いが〇八年四月以降、現行の一割負担から二割負担に上がります。「現役並み所得」(夫婦二人世帯で年収五百二十万円以上)の人は三割負担です。
●後期高齢者医療制度の創設
◇75歳以上のすべての人から保険料を徴収(1人あたり平均6200円)◇保険料は年金から天引き
◇保険料滞納者からは保険証を取り上げ、資格証明書を発行
●国保加入の65歳以上の高齢者の保険料を年金から天引き
●70−74歳の患者負担を1割→2割に引き上げ
後期高齢者医療制度 高齢者を75歳以上の後期高齢者と65―74歳の前期高齢者に分け、後期高齢者だけの独立した医療保険制度を創設します。都道府県単位で新たにできた「広域連合」が運営します。新制度では、後期高齢者向けに他世代とは別建ての診療報酬をつくることになっています。「後期高齢者の心身の特性にふさわしいものにする」ことを口実に診療報酬を引き下げ、「差別医療」「手抜き医療」になる危険性があります。