2007年4月12日(木)「しんぶん赤旗」

産活法改悪案を可決

リストラ支援 サービス業にも

衆院委で自公民賛成


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(写真)質問する塩川鉄也議員=11日、衆院経済産業委

 リストラ・企業再編を減税などで支援する産業活力再生法の改悪案と地方自治体の大企業誘致合戦をひどくし、地域格差を拡大する企業立地促進法案が十一日の衆院経済産業委員会で自民、公明、民主の賛成多数で可決されました。日本共産党は反対しました。

 中小企業地域資源活用法案に日本共産党は賛成しました。

 産活法改悪案は、臨時の特別措置法として制定された同法を二〇一六年三月まで延長し、「日本は製造業よりもサービス産業の生産性が低い」などとして、派遣・請負業を含むサービス業に対象を拡大するものです。

 日本共産党の塩川鉄也議員は反対討論で、国のお墨付きでリストラを支援する産活法は、非正規労働者を大量に生み出し、現在の経済・社会の二極化をすすめた中心的法律だと批判し、延長に反対しました。

 さらに塩川氏は、法案の問題点として、薄型テレビ製造大企業など多国籍企業へのさらなる税優遇措置を盛り込んでいることを指摘。法案がかかげる「サービス産業の生産性向上」は違法行為がまん延する派遣・請負業を拡大し、雇用の流動化をもたらすとのべました。

 また、生産性向上を理由にしたチェーン化と大規模化は圧倒的多数の小規模企業の淘汰(とうた)につながり、法がサービス産業に含めている医療、保育分野などで効率とコストが優先されれば国民の安心・安全が掘り崩されると批判しました。


解説

16年まで長期延長

 産業活力再生法は、企業がリストラ・人べらしをすればするほど減税などで支援する「リストラ促進法」です。

 これまで空前の利益をあげるトヨタ自動車や、松下電器、シャープなど偽装請負が問題になった大企業、米・カーライルなどの投資ファンドまでが適用をうけています。全体で十万人のリストラ人減らし計画にたいし、登録免許税だけで一千億円の減税です。ほかにも、不動産所得税の減税、特別償却制度による法人税減税などが受けられます。

 一九九九年に自民・公明の賛成で時限立法として制定され、二〇〇三年には民主党も賛成し、適用範囲を広げて五年間継続としました。今回の改悪案は、一六年三月まで長期に継続するものです。

 今回の改悪案は、「サービス業は生産性が低い」などとして、サービス業の適用対象を大幅に拡大します。「アウトソーシング(業務の外部委託)増」で重要性が高まるとして重点分野に派遣・請負業も盛り込まれています。

 法案に定められている「サービス産業生産性協議会」の会長には、現在経済産業省の「サービス産業研究会」の会長で、“政府の規制が生産性の低さにつながる”と主張する牛尾治朗氏(前経済財政諮問会議民間議員、ウシオ電機会長)が予定されています。

 衆院での審議で民主党も産活法を「今までの経済の、事業再編の過程においてかなり大きな役割を果たしてきた」(細野豪志議員)と絶賛し、企業支援について、「大風呂敷を広げた割には、ちょっとけちけちしている」(太田和美議員)とさらなる優遇措置を求めています。(吉川方人)


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