2007年4月7日(土)「しんぶん赤旗」
略奪文化財は返還を
衆院委 朝鮮占領下などの調査要求
石井議員
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六日の衆院文部科学委員会で「武力紛争の際の文化財保護法案」が全会一致で可決されました。同日の同法案の質疑で、日本共産党の石井郁子議員は、日本が過去に他国を占領して略奪した文化財の調査を求めました。文化庁の高塩至次長は、これまで調査をおこなっていないことを明らかにしたうえ、膨大な調査であることなどを理由に挙げ、今後も調査に消極的な姿勢を示しました。
国立博物館に所蔵・展示されている指定重要文化財「金銅透彫宝冠(こんどうすかしぼりほうかん)」など八点は占領下の朝鮮で民間人が略奪のように収集し、戦後、国に寄贈したものです。また、宮内庁書陵部皇室図書館には朝鮮王朝の儀式の模様を表した「朝鮮王室儀軌」があります。
石井氏は、韓国国際交流財団が一九九三年から九六年にかけて行った日本の国公私立の主な美術館や博物館、大学所蔵の朝鮮文化財の実態調査で二万九千点の所蔵が報告されていると指摘。公的機関が所蔵しているものは返還の方向でのぞむべきだと主張しました。
伊吹文明文科相は「政治家としての道義は軽視することはできないが、日韓条約(一九六五年)で決着しており、条約を尊重しなければならない」と答えました。