2007年3月29日(木)「しんぶん赤旗」
改憲手続き法案
運動規制に懸念次々
地方公聴会 拙速審議を大半批判
衆院憲法調査特別委員会は二十八日、新潟と大阪で改憲手続き法案についての地方公聴会を開きました。二カ所の公聴会を通じて八人の公述人のうち六人が法案の拙速審議を戒める発言をしました。また、二十七日に国会に提出された与党「修正」案で、公務員の活動規制が新たに示されたことを懸念する発言や、安倍晋三首相の法案審議への介入に批判が相次ぎました。
新潟では四人の公述人中三人が法案の内容を批判。新潟県弁護士会会長の馬場泰氏は、最低投票率の定めがないことから「ごく少数の国民の意思で憲法改正が行われる恐れがある」などの問題点を指摘。特に公務員の活動規制や、教員の地位利用の禁止について「国民の自由な討論を封ずるものだ」と批判しました。
新潟大学名誉教授の藤尾彰氏は、安倍首相を先頭として「従軍慰安婦」問題で戦争への無反省な発言が相次ぐ中での強行の流れについて、「危険な状況だと認識している。何を目指しての法案か透けて見える」とのべました。新潟国際情報大学教授の越智敏夫氏は厳格な改憲手続きを定めた憲法九六条の趣旨から「国民投票法では憲法をなるべく変えにくくするべきだ」と指摘し、憲法順守義務を負う公務員の活動規制に疑問を呈しました。
大阪では関西大学教授の吉田栄司氏が国民主権原理や人権保障の観点から法案を批判。公務員が投票運動に参加できないことは国民的議論の盛り上がりを妨げるとして「法案には憲法違反の疑義がたくさんある」とのべました。弁護士の中北龍太郎氏も、法案は自民党新憲法草案の実現に沿うものであり「国民主権の実現とは言えない」とし、「一から出直し議論するべき」だとのべました。前民主党衆院議員で新時代政策研究会会長の中野寛成氏は法整備に賛成しつつ、「これをセレモニーに終わらせてはならない」と拙速審議を戒めました。
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