2007年3月26日(月)「しんぶん赤旗」
遅れる災害対策への警鐘
二十五日朝、能登半島を襲った震度6強の地震(マグニチュード=M6・9)は、地震の「不意打ち」の怖さをあらためて教えました。
気象庁によると、昨年八月から試験的に始まった緊急地震速報で、強い地震発生を伝えたのは同日午前九時四十二分七秒すぎ。石川県輪島市、七尾市などでは、速報発表から五秒もたたずに震度6強の大きな揺れに襲われました。能登半島の海岸沿いの幹線道路では、がけ崩れが発生し、巨大な岩石が通行中の車を直撃したり、家屋倒壊も発生しました。今回のように震源が約十一キロと浅い地震などでは、緊急地震速報だけでは十分な災害軽減ができないことを事実で示しました。
石川県では、震度5クラス以上の地震を観測したのは、二〇〇〇年六月の石川県西方沖地震(M6・2)以来のこと。津波予報を発表したのは、一九九三年二月の能登半島沖の地震(M6・6)以来十四年ぶりです。
同日会見した同庁の鉢嶺猛・地震津波監視課長は「今後も最大で震度5クラスの余震が起きる可能性があり、土砂崩れの発生や家屋倒壊などの危険性が通常より高くなっているおそれがある」と注意を呼びかけました。
国の防災予算は毎年低く抑えられ、がけ崩れ危険地・急傾斜地対策も大きく立ち遅れています。今回の地震で倒壊被害を集中的に受けたのは、古い建物でした。政府は、耐震強化された新しい建築基準法の耐震性能を満たしていない古い「既存不適格」民間住宅の耐震補強・建て替え支援も消極的で、事実上危険を放置してきました。
今回の地震の「不意打ち」は、耐震補強が立ち遅れる全国の「既存不適格」住宅の危険と、急傾斜地の土砂災害・地盤災害への警鐘となりました。(宇野龍彦)
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