2007年3月21日(水)「しんぶん赤旗」
旧ミドリ十字
再評価制度すり抜け
名称一字変え「新薬」扱い 薬害肝炎が拡大
小池議員が質問
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日本共産党の小池晃参院議員は二十日開かれた参院厚生労働委員会で、薬害肝炎、薬害イレッサなど厚生労働省の医薬品行政について追及しました。
小池議員は、二十三日に東京地裁で判決がある薬害肝炎問題について質問。被告の製薬会社旧ミドリ十字社が医薬品の承認審査が厳格になった再評価制度をすり抜けるために、製品名を一文字変更して再評価審査を免れていたやり方を追及しました。
旧ミドリ十字社(現三菱ウェルファーマ)は、薬害肝炎を拡大させた血液製剤「フィブリノーゲン・ミドリ」を一九六四年六月に製造承認を受けました。六七年十月に、承認審査が厳格になり、七一年から全品目について再評価審査を受けることになっていました。
ところが同社は、再評価審査をすり抜けるために七六年「フィブリノーゲン・ミドリ」を「フィブリノゲン・ミドリ」と一文字だけ変えた名称に変更して、新規の医薬品扱いにしました。そのため再評価審査を受けず、血液製剤から肝炎ウイルスに感染する危険性について、厳格な審査を受けないまま継続使用を認められつづけ、被害を広げました。
小池議員は「厚生労働省の責任は重い。国は感染経緯の立証を前提にせずに、すべてのウイルス性肝炎被害者を救済すべきだ」と要求しました。
また、肺がん治療薬「イレッサ」について多数のサンプルによる無作為比較試験(第三相試験)を国内で実施することを条件に承認されたのにもかかわらず、同試験結果でも有効性が否定されたのに副作用被害防止の措置をとっていない問題について追及。
高橋直人医薬食品局長は、イレッサによる間質性肺炎など副作用が約千七百八人、死亡者も六百七十六人に上ると答弁しました。小池議員は「これでは何のための条件付き承認だったのか。再審査期間の来年七月をまたずに迅速確実なチェックをすべきだ」と主張しました。
再評価審査 新薬として承認されてから原則六年後に再評価。有効性や副作用について審査して薬の安全性を確保する制度。