2007年3月7日(水)「しんぶん赤旗」
容赦ない国保証取り上げ
受診遅れ重症化930件・死亡も
小池議員が追及
首相 「本当なら指導」
「生活困窮者からの国民健康保険証の取り上げをやめよ」。日本共産党の小池晃政策委員長は六日の参院予算委員会で、国保証の取り上げで、受診の遅れから病気が悪化したり、死亡したりする患者が出ている問題について安倍晋三首相らをただしました。子育て世代からも容赦なく国保証を取り上げている実態を示した小池氏に、安倍首相は「本当にそうであるなら、そんなことがないように指導しなければならない」と答えました。
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日本共産党は今年二月、全国の病院を対象に、国保証取り上げによる被害などについてアンケート調査を実施。現在までに六百を超える病院から回答があり過去三年間で、国保証を取り上げられ、受診が遅れて病気が重症化したケースが、九百三十件あることが明らかになりました。
全日本民主医療機関連合会の調査では過去二年間で国保証を取り上げられ受診が遅れて死亡した人が二十五人に上っています。
小池氏は党の調査で、がん治療を途中で中止したり高血圧症の治療を中断し、脳出血した例などがあったことを示し、安倍首相に国保証取り上げをしないと明言するよう迫りました。
安倍首相が「納付相談などが行われている」といい訳に回ると、小池氏は「そんな丁寧な対応ができていれば、死亡するような現実は起きていない」と批判。国保料そのものが支払い能力を超える実態になっていることを大阪市の例をパネルで示し質問しました。
自営業者で所得が二百八十万円の四人家族世帯、四十歳以上の夫婦と子ども二人の場合、大阪市では国保料が年間四十五万円。このほか介護保険料などが引かれ手元に残るのは百八十九万円です。
「国保料が貧困をつくり、ワーキングプアをつくる実態になっている」と指摘した小池氏。この背景に二十年間で、国保加入世帯の所得が減少する一方、住民一人当たりの国保料が二倍に増えていることや国庫負担比率を下げてきた問題をただしました。
安倍首相は「財源が厳しく、引き上げは困難」などと答弁。小池氏は「金持ち優遇の一兆円の証券減税は継続し、六割が大企業向けになる法人税の設備投資減税も行う。国民の痛みを感じる心がないのが自民党、公明党の今の政治だ」と批判しました。
小池氏はまた、産科・小児科の医師不足問題も取り上げました。
全国の病院長アンケート調査から
【福島県 A病院】
46歳男性。肝炎が重症化した。
【茨城県 B病院】
高血圧症で治療を中断し、脳出血した。
【長野県 C病院】
中年労働者。えん下障害で来院したが、上咽(いん)頭がんだった。
【和歌山県 D病院】
36歳男性。風邪だと思っていたら熱が下がらず肺炎になっていた。
【高知県 E病院】
自営業の主婦。国保証なしで、糖尿病治療を中断。未受診となり、糖尿悪化し死亡。
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