2007年2月9日(金)「しんぶん赤旗」
弱者に冷たい税制 くっきり
衆院予算委 佐々木議員質問
「弱者に冷たい姿勢は税制にもあらわれている」―。八日の衆院予算委員会で、日本共産党の佐々木憲昭衆議院議員はこう述べて、“庶民には増税、大企業には減税”という安倍内閣の「逆立ち」税制の問題をとりあげました。
6年で年16万円増税も
庶民増税
二〇〇六年に自民、公明両党が決めた定率減税の全廃で、所得税と住民税の負担額は〇七年からさらに増えます。
ところが、国税庁はパンフレットで「税源移譲によって所得税と住民税とを合わせた全体の税負担が変わることは基本的にはありません」と税金が変わらないかのように説明しています。
増えるのか、増えないのか。佐々木氏は、一例として夫婦と子ども二人で年収七百万円の世帯の場合にどれだけの負担額になるのかただしました。
財務省の石井道遠主税局長は、所得税と住民税の合計が、〇六年の四十一万八千円から〇七年には四十五万九千円になり、四万一千円の増税になることを認めました。
庶民には増税・負担増ばかりです。
所得税と住民税の負担を小泉内閣が発足した〇一年と〇七年で比べると年収四百万円の給与所得者で八万七千円の増税。年金所得者でも、年収四百万円で十六万四千円の増税になります。(グラフ)
|
配偶者特別控除の廃止や公的年金等控除の縮小などが次つぎと強行され、〇四年から〇七年までの四年間で所得税・住民税の負担増は、合計四兆五千六百億円にものぼります。(表A)
|
佐々木氏は、「一番弱いところに負担が積み重なっているのが実態だ。こんなやり方をいつまでも続けていいのか」と批判しました。
連結納税で1兆円減税
大企業減税
一方、バブル期よりも大きな利益をあげる大企業にたいしてはどうか。
佐々木氏は、「〇七年度の税制改正で大手企業にたいする減税策が次つぎ出されている。誰のための税制なのかが問われている」と、数々の大企業むけ減税についての認識をただしました。
〇七年度の税制改正案に含まれている減価償却制度の拡充は、設備の額によって法人税減税の範囲を拡大するものです。
法人税の減税額は、国税だけで五千百十億円、地方税をあわせると約七千億円です。佐々木氏は、この恩恵を受ける対象の六割を占めるのが、企業数でわずか0・36%にすぎない資本金十億円以上の大企業であると指摘しました。
さらに、企業グループを持つことができる大企業への減税となる「連結納税制度」(〇二年導入)でどれだけの減税となるかとただしたのに対し、石井主税局長は、三年間で一兆円規模となることを認めました。
株の売却や配当にかかる税金を20%から10%に軽減する証券優遇税制は、一年延長する予定です。これは、わずか3・8%の五千万円以上の所得をもつ人たちに、減税額の六割以上が集中するものです。(表B)
|
佐々木氏は、「これでは強いものの味方ではないのか。お金が足りないというならもうかっている大企業や大資産家に応分の負担を求めて、そこからもらったらどうか。これが普通の庶民の感覚だ。なぜ、やらないのか」とただしました。
大企業優遇を合理化
政府の姿勢
尾身幸次財務相は、定率減税を「臨時、異例の措置」と強弁し、廃止を合理化。「恒久的減税」として導入された経緯をごまかしました。
さらに、年金所得者への増税について、「高齢者は税が低すぎる」と庶民増税を当然視しました。
減価償却制度の拡充についても、中小企業にも適用されるので「大企業優遇」はあたらないなどと答弁。中小企業の多くが、法人税のかからない赤字企業で、減税となる設備投資も小さいため、恩恵がほとんどない実態を隠しました。
佐々木氏は、大企業優遇税制を延々と解説した尾身財務相に、「利益のあがる大企業に減税し、消費の低迷する家計に負担を負わせることが間違いだと基本的な姿勢を聞いている」と批判。
「大企業や大金持ちに減税しながら、庶民には増税するという、この内閣の国民にたいする非常に冷たい姿勢が浮かび上がった」と指摘しました。