2007年2月7日(水)「しんぶん赤旗」
米軍再編 補正予算でも110億円
与党単独の採決強行により六日の参院本会議で可決・成立した二〇〇六年度補正予算。政府・与党は「災害対策など必要性・緊急性の高い経費に対応」としていますが、見過ごせない問題を含んでいます。
重大なのは、在日米軍基地の恒久化・強化をはかる在日米軍再編の経費約百十億円を盛り込んでいることです。
日米両政府は昨年五月、在日米軍再編の「最終報告」を合意しました。これを受け、〇七年度予算案には在日米軍再編の経費約三百十三億円を計上しています。補正予算は、米国との合意を「着実に進める」(安倍晋三首相)ため、〇七年度予算案の成立・執行を待たず、今年度中にも急いで実施することを狙ったものです。
補正予算に盛り込まれた再編経費は、▽キャンプ・シュワブ沿岸部(沖縄県)に米海兵隊の新基地を建設するための調査費等約三十六億円▽米空軍嘉手納基地(同)の戦闘機の訓練を本土で実施するための関連経費約七十四億円▽米海兵隊岩国基地(山口県)に空母艦載機部隊を移駐するのに伴い、新たな誘導路を建設するための設計費約〇・二億円―です。いずれも地元の住民・自治体が強く反対している計画ばかりです。
このほか、在日米軍再編の経費には含まれていませんが、原子力空母を米海軍横須賀基地(神奈川県)に配備するために港内をしゅんせつするための工事費約六十四億円も盛り込んでいます。
また、「ミサイル防衛」用の地上発射型迎撃ミサイルPAC3を、三月までに航空自衛隊入間基地(埼玉県)へ配備するための経費約七十六億円も計上。昨年の北朝鮮のミサイル発射・核実験強行を受け、配備を前倒ししたものです。
国民生活ではどうか。障害者「自立支援法」の施行にともない、「対策関連経費」として九百六十億円を計上しています。
その内容は、(1)報酬が日払いとなった結果、利用者が思うように確保できず減収が大きい事業者への支援(2)サービス体系が抜本的に見直されるなかで、ただちには移行できない事業者を経過的に支援する、など事業者に対する激変緩和措置が中心です。
これらは、原則一割の「応益負担」の導入など、障害者と家族、施設関係者にあまりにも重い負担を押し付ける障害者自立支援法への国民的批判の高まりのもとでとられた一定の措置にすぎません。政府・与党は「負担軽減」というなら、こうした軽減措置にとどまらず、制度の抜本的見直しが必要です。