2003年1月13日(月)「しんぶん赤旗」
【モスクワ12日北條伸矢】ロシア訪問中の小泉純一郎首相は十二日、ロシア極東の中心都市ハバロフスクに到着し、プリコフスキー極東連邦管区大統領全権代表と会談しました。同全権代表は北朝鮮の金正日労働党総書記と親しい関係にあるといわれ、北朝鮮の核開発問題や日本人拉致問題などについて意見を交換しました。
全権代表は、核不拡散条約(NPT)からの脱退表明など北朝鮮が核問題で態度を硬化させている背景にはエネルギー問題があると指摘。「国際社会、とりわけアジア太平洋諸国の努力によってのみ、北朝鮮のエネルギー問題は解決可能だ」との考えを示しました。金総書記については「常識ある人間で、平等の条件で話をすれば肯定的結果が得られるだろう」と語りました。
これに対し首相は、昨年九月の訪朝について「(国交)正常化の一歩につなげたいと願った」と説明。日本人拉致問題解決について協力を要請しました。全権代表は、北朝鮮との関係が前向きに変化すれば極東地域の繁栄に寄与すると述べました。
首相は会談後、記者会見し、北朝鮮に対しNPT脱退宣言のすみやかな撤回とともに、問題の平和解決がもっとも利益になることを働きかけたいと語りました。(会見要旨は別項)
プリコフスキー氏は、二〇〇一年夏と〇二年夏にロシアを訪問した金総書記の移動中の列車に同乗するなど、金総書記の「素顔」を知る数少ない外国の要人です。昨年、金総書記訪ロに関する回想録を出版しました。