2003年1月11日(土)「しんぶん赤旗」
【モスクワ10日北條伸矢】ロシアを公式訪問中の小泉純一郎首相は十日午後(日本時間同日夜)、クレムリンでロシアのプーチン大統領と会談しました。双方は北朝鮮が核不拡散条約(NPT)からの脱退を宣言したことを「遺憾」とし、撤回するよう求めることで合意しました。両首脳は会談後に共同で会見し、日ロ平和条約の締結交渉加速など六項目での協力推進をうたった「日ロ行動計画」を発表しました。
小泉首相は会談に先立つ十日午前、北朝鮮に対しNPT脱退表明の撤回を求めると発言。米韓両国など関係諸国との協調を呼びかけました。北朝鮮問題ではまた、行動計画に拉致問題を明記し、ロシアが日朝関係正常化に協力することが確認されました。
そのほか、イラク問題、エネルギー分野を含む経済協力などについても協議。イラク問題では、国連が定めた大量破壊兵器査察に関する義務を厳密に遂行するようイラクに求めることで一致しました。
行動計画は▽政治対話▽平和条約締結努力▽国際関係での協力▽経済協力▽治安・防衛▽文化交流の六項目からなり、今後の二国間協力の指針となります。
平和条約締結・領土問題では、一九五六年の日ソ共同宣言、九三年の東京宣言、二〇〇一年のイルクーツク声明などを「交渉の基礎」と表現。国後(くなしり)、択捉(えとろふ)、歯舞(はぼまい)、色丹(しこたん)を明示して「四島の帰属問題を解決することで平和条約を締結する」ための交渉の加速が書き込まれました。
しかし、「四島」返還のみを主張する日本政府と、スターリン時代の領土拡張策の誤りに正面から向き合おうとしないロシア側の溝は埋まっていません。
プーチン大統領は共同会見で「両国民の利益を勘案して行動すれば(領土問題は)公正に解決できる」「相互信頼なしには解決しない」と発言。「その際、どういう出来事の結果、島々がロシアの所管となったのか考慮に入れなければならない」と強調するにとどまりました。