日本共産党

2003年1月11日(土)「しんぶん赤旗」

北朝鮮がNPT脱退宣言

核査察義務も拒否


 朝鮮中央通信によると北朝鮮政府は十日、核不拡散条約(NPT)からの脱退を宣言し、国際原子力機関(IAEA)との保障措置協定に定められた核査察の義務から離脱すると発表しました。


 北朝鮮政府はこの声明で、米国が北朝鮮を「悪の枢軸」と名指しし、核先制攻撃の対象にしていると非難。IAEAが一月六日に採択した決議で北朝鮮に核開発計画の放棄を求めたことを「わが国の自主権と民族の尊厳に対する重大な侵害」と批判し、「NPTが米国の対朝鮮敵視政策の道具として悪用されている」と主張しました。

 その上で「NPTからの脱退は米国の圧殺策動とそれに追随したIAEAの不当な行為への当然な自衛的措置である」としています。

 核不拡散条約(NPT) 一九六八年七月に結ばれ七〇年三月発効した「核兵器の不拡散に関する条約」のこと。核保有五カ国による核兵器の独占を認める一方で、新たな核保有国の出現を防止することを目的としています。

 他方、声明は「NPTから脱退するが、核兵器を製造する意思はなく、現段階での核活動は唯一、電力生産をはじめ平和目的に限られる」と述べ、「米国がわれわれに対する敵視政策を放棄し核威嚇を中止するなら、われわれは核兵器を製造しないということを朝米間の別途の検証を通じて証明して見せることもありうる」との態度を示しました。

 この発表に対し、韓国政府は、宣言の撤回と対話による解決を求める声明を発表しました。

 中国の国営通信、新華社は「朝鮮半島の核危機をいっそうエスカレートさせる動き」と伝えています。


世界平和を脅かす行為 核開発の放棄を求める

市田書記局長が談話

 北朝鮮が核不拡散条約(NPT)脱退を表明したことにたいして日本共産党の市田忠義書記局長は十日、次の談話を発表しました。

 本日、北朝鮮は、核不拡散条約(NPT)からの脱退を表明した。この間、北朝鮮は、米朝枠組み合意の破棄や国際原子力機関(IAEA)の査察拒否など、国際的約束をつぎつぎと破ってきたが、今回の脱退表明は、核開発にむけてさらに重大な一歩をすすめようとするものである。

 わが党は、一部の国による核兵器の独占を体制化するNPT条約には反対する態度をとってきたが、これは、核兵器の全面廃絶の立場に立ってのことであって、核兵器保有国の新たな増大を容認するものではない。いったんこの条約に加盟して、核兵器を保有しない意思を表明した国が、この条約から脱退して核兵器保有への道をめざすことは、世界平和を脅かす行為であって、いかなる理由によっても正当化されえないものである。

 「日朝平壌宣言」は、核についてあらゆる国際的合意を順守することを明記している。同宣言にてらしても、北朝鮮が核開発の推進の行動をただちに中止し、その計画を放棄するとともに、核にかかわる国際的約束を順守する立場に立ちもどることを、あらためて強く要求する。


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