日本共産党

2003年1月9日(木)「しんぶん赤旗」

解説

日米韓共同声明

対話による解決確認 国際世論が背景に


 日米韓三国は七日の局長級協議で、北朝鮮にたいし、核兵器開発の計画をやめることを明確にするよう求めるとともに、これまで北朝鮮との交渉を拒否してきた米国を含めて、北朝鮮の核問題の話し合いによる解決をめざすことを確認しました。この方針によって、黒鉛型原子炉の封印解除や国際原子力機関(IAEA)の査察官退去など次々に核開発への動きを進める北朝鮮に国際合意を守らせる上で、新たな局面を開くことが期待されます。北朝鮮がこの提起にこたえて一方的に国際合意を破る態度をやめ、話し合いにつくかどうかが今後問われます。

 共同声明では問題の「平和的かつ外交的解決」を求めると明記するとともに、北朝鮮にたいし「迅速かつ検証可能な行動」をもって「核兵器開発計画を完全に廃棄するよう」求めています。さらに最近の措置を撤回し「軽率な行動」をとらないよう要求、IAEA理事会の決議を受け入れるよう求めています。

 共同声明のもう一つの注目点は、その中で米国が「北朝鮮に脅威を与え侵略する意図はない」と明言した上で、「北朝鮮がいかにして国際社会への義務を果たすかについて北朝鮮と話し合う」用意があることを明言したことです。

 ブッシュ米大統領はこれに先立って、北朝鮮と「対話を行う」(六日)とのべました。それまで、平和的解決をいう一方で、北朝鮮との直接対話を拒否してきた立場からすれば一定の変化です。

 この背景には、平和を求める国際世論とともに、韓国や中国、ロシアがブッシュ米政権の対決路線に同調せず、あくまで外交努力による解決を呼びかけてきたことがあります。

韓中ロの動き

 韓国は今回の会議を前に金大中大統領の秘書官を米国に派遣して外交的解決案をブッシュ大統領に伝えました。この案は、北朝鮮に核開発を放棄させる一方、米国は北朝鮮の現政権を打倒しない保障を与える内容だと伝えられます。また韓国は北朝鮮に対して南北閣僚級会談の一月十四日開催を呼びかけました。盧武鉉次期大統領は北朝鮮の核問題の平和的解決を新政権の最重要課題にあげています。

 中国は「北朝鮮とすでに密接な連絡をとっている」(章啓月外務省報道官)と外交ルートで国際合意を守らせる努力を続けていることを明らかにしています。ロシアも五日、韓国の外交通商次官の訪問を受けて、北朝鮮に「圧力を加えるやり方」に反対し、交渉による解決推進で共通の立場を確認しました。

 今回の共同声明がまた、南北対話とともに日朝対話を支持し、朝鮮半島の非核化を実現する上で「重要なチャンネル」と位置付けたことも重要です。日本政府もこうした立場で外交努力を払うことが必要になっています。(山田俊英記者)


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