2003年1月7日(火)「しんぶん赤旗」
金大中・韓国大統領は、任晟準・外交安保首席秘書官を特使として七日から米国に派遣し、北朝鮮の核開発問題の解決策を米側に提示します。北朝鮮が核施設の再稼働に向けた動きを強めるなか、韓国が主導的な役割を果たしながら事態の悪化を防ぎ、米朝間の妥協点を探ることが狙いです。任氏は十日から日本を訪問し、米国との協議内容を説明します。
任氏は六日、韓国マスコミとの記者会見で、「民族の命運がかかった核問題の解決に力を注ぐ」と述べ、韓国政府が核問題の「平和的、外交的な解決」に総力をあげる姿勢を強調しました。
任氏は訪米中、ライス大統領安保補佐官や議会指導者らと「方法論の大きな枠を調整する」としています。
米政府は最近、北朝鮮への経済制裁を通じた圧力強化策を検討しましたが、韓国などの反対に遭いました。任氏は「米国の政府高官と会い、立場を把握し(韓国側の立場と)比較しながら、共通分母を探り出す作業になる」と述べ、現時点で米国と韓国の間に解決策をめぐる意見の違いがあることを認めました。
金大統領の解決策について、韓国マスコミは、「北朝鮮が核開発を放棄し、米国が文書で北朝鮮の体制保障を確約する」と伝えています。また、事態の悪化を食い止めるために、一月から中断されている北朝鮮への重油供給を再開する案も打診するといいます。
これに関し任氏は会見で、「重油供給の停止に反発した北朝鮮が、核施設の凍結解除に乗り出した」と指摘。「状況をさらに悪化させないよう、解決への局面をどう開くかについて、率直な意見を交換する」と述べ、重油供給再開の必要性を示唆しました。
一方、韓国と北朝鮮は今月中旬にソウルで第九回南北閣僚級会談を開く予定です。韓国政府は十四―十七日の開催を提案しており、この会談の場で核問題の解決策を北朝鮮に示したい考えです。これを前にした任氏の訪米と訪日は、対北朝鮮政策での三国協調を重視する日米韓が、平和的な解決策の具体化を探る場となります。