2002年12月25日(水)「しんぶん赤旗」
【イスラマバード23日山崎伸治】志位和夫委員長を団長とする日本共産党代表団は二十三日、南アジア歴訪の最後の訪問国パキスタンで、十月の総選挙後成立した新政権の閣僚の一人であるダニヤル・アジズ国家再建局長官、カムラン・ニヤズ外務次官補とそれぞれ会談し、イラク情勢をはじめとする国際問題や異なる文明の平和共存などの問題で率直に意見を交換しました。
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ニヤズ外務次官補との会談では、イラク問題がまず取り上げられました。志位委員長が、イラクに対する軍事力行使に反対し、あくまで国連の枠組みのなかでの平和的な解決を図るという日本共産党の立場を説明。ニヤズ氏は「それはパキスタンの立場でもあります。何が起きようとも、国連の枠組みのなかで解決するよう努力すべきです」とのべました。
一方で、イラクに対する「武力行使の自動性を排除」した国連安保理決議一四四一をめぐっては、ニヤズ氏が「決議はいろいろに解釈されてしまう懸念がある」とのべました。
これに対し志位氏は「この決議は文面とともに、採択されたプロセスが大事です」として、(1)仏ロ中三国が「武力行使の自動性の排除」を確認した共同声明を出している(2)シリアがこの見地を確認して賛成し全会一致となった(3)パキスタンのアクラム国連大使が安保理公開討論の過程で「国連憲章は一方的な武力行使の権限を与えていない」と言明した―ことなどを指摘し、この決議を厳守させることの重要性をのべました。
ニヤズ氏は「あなたがこの問題をよく研究し、豊かな知識をもっていることにたいへん驚きました。武力によらない解決ができることを望みたい」と表明しました。志位氏は、「平和的解決の可能性をくみ尽くす必要があることで、見解が一致したことはうれしいことです」とのべました。
核兵器廃絶の問題では、志位氏が「唯一の被爆国の共産党として、パキスタン政府に核兵器廃絶のイニシアチブをとるよう要請したい」とのべると、ニヤズ氏は同国が核兵器を保有するに至った経過を説明したうえで、「インド側にも同じように要請してほしい」と発言。
これに対して志位氏が、先のインド訪問でフェルナンデス国防相にも同じ要請をしたことを話し、「私たちの主張は、あれこれの国に一方的な廃棄を求めるのではなく、地球的規模で核兵器をなくすというものです」とのべると、ニヤズ氏は「強く同意します」と応じました。
パキスタンとインドの紛争については、志位氏が六月に不破哲三議長との連名で両国に送った書簡にもふれ、「この地域での戦争、わけても核戦争は避けていただきたい」と強調すると、ニヤズ氏は、「健全で道理あるアプローチです」とのべました。