2002年12月23日(月)「しんぶん赤旗」
解説 北朝鮮が国際原子力機関(IAEA)の黒鉛減速炉の封印を撤去し、監視カメラを妨害したことは、これまでの数々の国際的合意を破るものであり、核開発に関し「すべての国際的合意を順守する」と約束した日朝平壌宣言にも違反するものです。
IAEAの核施設への封印、監視は核不拡散条約(NPT)と一九九四年の「米朝枠組み合意」に基づいています。
九三―九四年の北朝鮮の核開発と一触即発の危機の中で、締結された米朝枠組み合意では、北朝鮮は軽水炉の提供を受ける代わりに核兵器製造に必要なプルトニウムを抽出可能な寧辺の黒鉛減速炉と関連施設を凍結し、NPTにとどまり、IAEAの査察を再開することに合意しました。北朝鮮が韓国と合意した「朝鮮半島非核化共同宣言」の履行も約束しました。
北朝鮮はIAEAからは脱退していますが、NPTにとどまっており、IAEAはNPTの包括的保障措置(核査察)に基づいて、黒鉛炉の凍結を監視していました。
北朝鮮は、核施設の稼働再開は米国などが重油支援停止などの措置をとったことへの対抗措置としていますが、そもそも「問題の根本は十月十六日に北朝鮮が核兵器の開発計画をもっていることが明らかになったこと」(志位委員長)にあります。(片岡正明記者)