2002年12月15日(日)「しんぶん赤旗」
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埼玉県議会で公明党議員が、在日朝鮮人帰国事業を促進したとして日本共産党を攻撃する質問をおこなったものの、日本共産党議員の質問で、埼玉県議会では全会一致で帰国促進決議を採択していたことなどが明らかになり、公明党の道理のなさが浮き彫りになっています。
問題の発端となったのは、九日の埼玉県議会一般質問。公明党の山本晴造議員が、在日朝鮮人の北朝鮮への帰国事業に日本共産党が熱心に取り組んだことを北朝鮮の「犯罪」に加担するものであったかのように描き、『文芸春秋』記事などを引用して、反共デマ攻撃をおこないました。
これにたいし日本共産党の飯島邦男県議は、十日の一般質問のなかで、埼玉県議会が一九五九年に「在日朝鮮人帰国促進に関する決議」を、全会一致で採択していた事実を示しました。
同決議は、相川曹司氏(相川宗一さいたま市長の父)ら十人の県議が提案したもので、「本県に在住する朝鮮人は、昭和三十三年六月の登録において四千五百三十九人に上り、このうち相当数の帰国希望者がある。埼玉県議会は、さきに政府が決定した帰国促進方針を支持する」として、円滑な進行をはかるための努力を関係各国に求めています。
飯島県議はこの県議会決議を紹介したうえで、「公明党の攻撃は、そのまま県議会の決議を冒涜(ぼうとく)することになる」と批判しました。
なお、同県議会は六三年には、「在日朝鮮人は、解放後一八年を経た今日、祖国朝鮮民主主義人民共和国との往来を認められていないが、かかる状態は、人道と人権尊重の見地からもすみやかに是正されなければならない」として、在日朝鮮人が北朝鮮と往来できるよう政府に求める請願を趣旨採択しています。
この請願の紹介議員には、当時の公明政治連盟の小川新一郎県議(後に公明党衆院議員)が名前を連ねていました。
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在日朝鮮人の帰国問題は、もともと戦前の天皇制政府による朝鮮の植民地支配に根源があります。当時、数十万人もの朝鮮人が強制連行などによって日本に移住し、悲惨な生活をしいられました。これらの人びとは、戦後、祖国に帰りたいと、帰国運動を起こし、国際赤十字は一九五六年に、日本および南北朝鮮に覚書を送り、帰国は基本的人権にかんする問題であり、かつ、人道的問題であることを明確にして対応を求めていました。この問題は、日本共産党のパンフレット『北朝鮮問題 「反省」すべきは公明党ではないのか』でくわしく解明されています。