2002年12月1日(日)「しんぶん赤旗」
航空自衛隊が導入していた砂漠型迷彩服は一九九一年の湾岸戦争時にイラクなどからの避難民輸送を実施する際の擬装のためだったことが防衛庁の報告で明らかになりました。
日本共産党の吉岡吉典議員が、防衛庁広報誌『セキュリタリアン』十一月号に砂漠型迷彩服で訓練する隊員の写真が掲載されていることを示し「日本に砂漠はない。イラクでの作戦を想定しているのか」と防衛庁を追及(十一月十九日参院外交防衛委員会)。これに対する同庁の調査の結果、分かったものです。
報告によると、九一年一月、安全保障会議が湾岸危機で発生する避難民の輸送を空自輸送機で実施することを決定したため、防衛庁長官の指示で「中東の環境に適応した砂漠用の迷彩模様の服を国内で調達した」としています。
吉岡氏は十一月二十八日の参院外交防衛委で「公表されていない重大な事実だ」と指摘。「当時、避難民輸送が砂漠での戦闘事態になることを想定していたのではないか」と追及。防衛庁の西川徹矢運用局長は「避難民救出は屋外での活動なので、周辺に溶け込んで自らを防護する必要がある」と答えました。
広報誌の写真については、九一年三月に湾岸戦争が終結したため、この迷彩服は使用されず、九五年十一月に航空自衛隊幹部候補生学校に管理がえし、訓練に使用してきたと答弁しました。
吉岡氏は、イラク攻撃が問題になっているとき、防衛庁広報誌がこのような写真を掲載すること自体が政治的意味を持つと指摘しました。