2002年11月21日(木)「しんぶん赤旗」
財政制度等審議会(財務相の諮問機関、会長・今井敬新日鉄会長)は二十日、二〇〇三年度予算編成に関する建議(意見書)をまとめ、塩川正十郎財務相に提出しました。
建議は、「改革断行予算の継続」を訴え、地方交付税の役割のうち、地方の財政基盤の格差を調整する「財政調整機能」は維持する一方、地方の歳入が不足したときに国が穴埋めする「財源保障機能」の廃止を提言。義務教育費国庫負担制度についても、負担対象経費の「整理合理化」を促しました。
社会保障については、“国民に将来不安を与えないため”に「厳しい内容であっても」「抜本改革を行う必要がある」と強調。保険料の引き上げや給付水準とサービスの抑制による国民負担増を露骨に迫っています。
年金では、過去三年の凍結分を含めた物価スライドの完全実施と給付水準の抑制、雇用保険では、給付の「重点化・効率化」と保険料の引き上げを容認。また、公的医療費全体の伸びの抑制策を大胆に盛り込むことや、介護保険料の引き上げ、介護報酬の引き下げ、生活保護基準の引き下げを要望しています。
地方交付税の財源保障機能の廃止と義務教育費の国庫負担制度の「整理合理化」は、住民の暮らしを守るという自治体本来の役割を掘り崩す重大な内容です。
地方交付税には、自治体間の税収格差の調整機能と、全国どこでも標準的な行政水準を財政的に保障する機能があります。財源保障機能を廃止することは、自治体がおこなう福祉や教育などの標準的な行政サービスを保障する機能を、なくしてしまおうということです。
義務教育費の国庫負担制度は、公立中学校教職員の給与などを国が半額負担する制度です。これを「整理合理化」すれば、自治体は三十人学級の実現どころか、教員削減と学校の統廃合を迫られます。(石井光次郎記者)