2002年10月30日(水)「しんぶん赤旗」
日本共産党国会議員団文教部会の石井郁子、児玉健次両衆院議員と林紀子参院議員、畑野君枝参院議員(代理)は二十九日、教育基本法の見直しを審議している中央教育審議会(鳥居泰彦会長)の事務局を担当する文部科学省の布村幸彦生涯学習局政策課長に、慎重審議をおこなうよう申し入れました。
同審議会の基本問題部会が最近の二回、委員の出席が定足数に達していないにもかかわらず議事をすすめ、中間報告案を部会での正式な議論を経ないまま三十日の中教審総会に提出しようとしていることが判明したため、急きょ実施したものです。
石井氏らは「成立していない部会でまとめた中間報告案を総会に出すのは非常識だ。再度部会を開いて議論すべきだ」「中間報告書にも意見はあるが、運営自体があまりにずさんだ。中教審のあり方が問われる。日程ありきですすめるべきではない」とのべました。
これにたいし、布村課長は「直近の二回の部会が定足数に達していなかったのは事実だが、欠席者からは文書や電話による聞き取りで意見を反映しているので問題ない」などと答え、予定通り三十日の総会と部会の合同会議に中間報告案を提出するとのべました。
石井氏らは「部会が成立していないのに無視してやれば禍根を残す。スケジュール通りすすめるべきでない。厳重に申し入れる」とのべ、運営ルールをまもり慎重審議をおこなうよう強く求めました。
十月に開かれた中教審の二回の基本問題部会は、出席者が委員の過半数という定足数に満たず、正式の部会として成立していませんでした。しかし、会長や事務局は、会議の席上、それを出席した委員に報告することもせず、公表している議事録概要などでも、正式の部会扱いとしていました。
本来、定足数に達しない場合、流会にし、改めて会議の日程を設定しなおします。そうでなければ、定足数を定める意味がありません。審議は尽くされていないのに、中間報告、最終答申の提出日程を「出口先にありき」で決めているため、それをしないのです。
基本問題部会の委員の出席率は悪く、ここまでに十六回の「部会」が開かれましたが、十六人の委員全員が出席したことは一度もありません。しかも、中間報告とりまとめに入り、教育基本法見直しの輪郭がはっきりしてきた九月以降、ますます出席率が低下。とうとう半数を切るにいたりました。
「教育を根本から見直す」という議論のはずなのに、会議運営の手続きも無視した無責任な審議になっています。議論も尽くさず中間報告の提出を強行するのはやめるべきです。(西沢亨子記者)