2002年10月10日(木)「しんぶん赤旗」
政府は九日午後、首相官邸で朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との国交正常化交渉に関する関係閣僚会議を開き、国交正常化交渉を二十九、三十両日にマレーシアの首都クアラルンプールで開くことを確認しました。日本人拉致事件の生存者五人が十五日に一時帰国することも報告、了承されました。
関係閣僚会議では、国交正常化交渉にのぞむにあたって、拉致問題を日朝間の諸懸案の最優先事項にする、日本と北東アジア地域の平和、安全に寄与する形での国交正常化実現に最大限努力する――などの基本方針を確認しました。交渉では外務省の鈴木勝也担当大使が政府代表を務めます。
これに先立ち、政府は内閣府に北朝鮮による拉致被害者の家族連絡会の蓮池透事務局長らを招き、生存者の一時帰国について説明しました。この中で、政府側は、今回帰国するのは、新潟県・佐渡島の曽我ひとみさん(43)ら五人で、滞在日数は一―二週間程度になると説明。家族側は、政府が生存者の子どもらの早期帰国に努力することを前提に了承しました。
帰国するのは曽我さんのほか、福井県の地村保志さん(47)と浜本富貴恵さん(47)、新潟県の蓮池薫さん(45)と奥土祐木子さん(46)。
一時帰国が被害者本人のみとなることについて、福田康夫官房長官は記者会見で「本人の強い意向」と説明。その上で、北朝鮮側が「可能な限り早期に子どもを含む全員を帰国させる」と伝えてきていることを明らかにしました。