2002年9月20日(金)「しんぶん赤旗」
日本共産党の志位和夫委員長は十九日夜、奈良市内の演説会で、「日朝首脳会談で拉致という痛ましい事実も明らかになるなかで、一連の経過をどうみたらいいのか、多くのみなさんが、さまざまな思いをもち、考えられておられると思います」と問いかけ、日朝首脳会談の結果を受けた日本共産党の立場を三点にわたってのべました。
志位氏は第一に、「国交正常化交渉を再開する合意がつくられたことは、悲劇のなかでの一歩ではありますが、やはり重要な前進の一歩です」と指摘しました。
これまで日朝間では国交はおろか交渉ルートすらなかったために、ミサイル、拉致問題、過去の清算など諸懸案を話し合いで解決するのでなく、「目には目を」という軍事的対応の悪循環への危険も生まれました。志位氏は、このもとで日本共産党が一九九九年一月の国会質問で、日朝両国間の対話のルートを開き、交渉によって解決することを提案したこと、日朝首脳会談をおこなうことが発表されたことをうけて、日朝両国首脳の決断を「歓迎し、協力をおしまない」とのべたのはこの立場からのものだったと語りました。
第二は、首脳会談で明らかになった北朝鮮による拉致という重大な事実についてです。
志位氏は、「思いもよらない痛ましい結果であり、ご家族の方々の悲しみはいかばかりかと思います」とのべ、明らかになった拉致の事実に日本共産党がきびしい抗議の態度を表明したことを報告。「拉致を認めたことは真相解明への一歩ですが、もちろんこれで終わりにしていいわけではありません」として、「拉致問題の真相を全面的に明らかにすること、責任者への処罰、被害者への謝罪と補償などを、交渉のなかで提起し、解決をはかっていくことが必要だというのが、私たちの立場です」とのべました。
第三に志位氏は、小泉首相が国交正常化交渉の再開に合意したことを間違いだと批判する声もあることに言及。「もちろん、首脳会談で日朝間の問題が解決したわけではありませんが、交渉なしに問題の解決がはかられないことも明らかです」と指摘。「拉致問題の真相解明、責任問題、再発防止にしても交渉を通じてこそ解決できます。制裁で門戸を閉ざしたならいったいどういう展望が開かれるでしょうか」と問いかけると、拍手がおきました。
志位氏は、小泉首相と日本共産党は国政のあらゆる基本問題できびしく対決しているが、「この(日朝)問題について首相の一連の行動は道理にかなったものです。道理にかなったときは国民の利益、アジアと世界の平和という大きな観点から協力するのは当然です」とのべ、日本共産党として日朝関係を敵対から友好に転換するために力をつくす決意を表明すると、会場から大きな拍手がおこりました。