2002年9月19日(木)「しんぶん赤旗」
十七日の日朝首脳会談の報告のため、小泉純一郎首相と日本共産党、民主党、自由党、社民党の野党四党首との会談が十八日夜、首相官邸で開かれました。日本共産党からは志位和夫委員長が出席、市田忠義書記局長が同席しました。
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会談では冒頭、小泉首相が金正日総書記との会談結果を報告し、次のように述べました。
小泉首相 昨日、金正日国防委員長と会談し、十月中に国交正常化交渉を再開することに合意し、「日朝共同宣言」に署名した。過去、現在の諸懸案の解決、将来の日朝関係の改善のために、交渉を再開する。拉致の問題は思いもかけない結果だった。遺族の気持ちを察すると、いたたまれないが、北東アジアの安全、平和のためには北朝鮮が国際社会の一員となることが重要と判断し、包括的総合的に問題を解決するという立場で「宣言」に署名した。
賛否いろいろあるだろうが、正常化交渉のなかで解決をはかっていきたい。今回はまず交渉をしようということなので、それが可能かどうかの道を探ろうとした。先方も誠意ある態度をもって日朝間の改善をはかる意思を感じたので、正常化交渉の再開にふみきった。
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これを受けて志位委員長は次のように発言しました。
志位委員長 首脳会談で、「過去の植民地支配」の清算、「日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題の再発防止」などにかんして「日朝共同宣言」がかわされ、国交正常化交渉の再開が合意されたことは、重要な前進の一歩だと考える。
交渉再開への首相の決断は、重くつらいものであったと思うが、「これで懸案は解決したわけではないが、交渉なしに改善ははかられない」との立場からの決断を、わが党は強く支持する。
首脳会談のなかで、北朝鮮による拉致という重大な事実が明らかになった。これは明らかな国際犯罪であり、国家機関が関与していたとすれば、ことはいっそう重大である。この点について、わが党は、きびしい抗議の態度を表明した。
拉致を認めたことは、真相解明への一歩だが、もちろんこれですむ話ではない。拉致問題の真相の全容を明らかにすること、責任者を処罰すること、被害者への謝罪と補償をはかることなど、一連の問題を国交正常化交渉のなかで提起し、解決をはかることが必要だ。
交渉の前途には、曲折や困難も予想されるが、「日朝共同宣言」にもとづいて、諸問題を理性と道理をもって解決し、日朝両国の平和と友好への道が開かれることを、強く願ってやまない。わが党は、ひきつづき、そのために必要な協力はおしまない。
小泉首相は各党の発言を受け次のように述べました。
小泉首相 話し合いという場合、正常化を前提にして話し合わないといけない。目標なしにやったら、かえって無意味ということになる。
政治家として一番大事なことは、決して戦争をしない、国民生活を豊かにすることだ。
国際社会の中で、北朝鮮が責任ある地位を占めることが、北朝鮮にとっても、日本にとっても大事だ。交渉のいちばん大事な目的は、敵対関係を協力関係にしていくことであり、それが政治家としての責務だ。
むしろ、これからが大事だ。一歩踏み出したということだ。