日本共産党

2002年9月1日(日)「しんぶん赤旗」

新展開の南北朝鮮

実を結ぶ南北対話の努力

日朝局面打開の転機に


 韓国と北朝鮮が鉄道・道路連結の同時着工に合意し、半世紀にわたり閉ざされてきた朝鮮半島の休戦ラインが東西二カ所で開放されることになりました。和解と交流をめざす合意の実践に向けた対話が実を結び、朝鮮半島の当事者である南北朝鮮が新たな関係に踏み込んでいます。こうした中で小泉首相の訪朝が発表され、局面打開の転機になろうとしています。

 三十日の南北経済協力推進委員会が合意文書を発表した直後、韓国統一省当局者は、「南北関係の実質的な進展とこれを通じた緊張緩和と平和の増進は、米朝、日朝関係の進展にも肯定的な影響を与えるだろう」と自信を見せました。

■日本の孤立化

 ソウルの南北関係研究者は、「小泉首相の訪朝に決定的な影響を与えたものは、南北関係の進展、特に鉄道・道路の連結だ」と指摘します。「韓国・北朝鮮と中国、ロシアが密接な協力関係を築いていくなかで、日本だけが東アジアで取り残される事態が現実化してきたからだ」

 二〇〇〇年に開かれた初の南北首脳会談は、「国際的な孤立からの脱出」をめざす北朝鮮が韓国の位置づけを「敵」から「対話のパートナー」に変えたことを意味します。休戦ラインの一部を崩す鉄道・道路の連結は、南北の新たな関係を実証するものです。

 小泉首相は、「訪朝を一年前から交渉してきた」と明かしました。一年前の昨年九月は、北朝鮮への強硬姿勢をとる米ブッシュ政権発足で途絶えていた南北対話が第五回閣僚級会談を機に再開した時期にあたります。ここで鉄道・道路連結を含む首脳会談の合意を実践に移し、「南北関係を原状回復する」ことで合意しています。

 一方、大量破壊兵器の開発・拡散などを理由に北朝鮮に強硬な姿勢を崩さなかった米国は、九・一一テロ後、「テロ支援国家」と見なす北朝鮮に、より厳しい姿勢を示すようになります。今年一月には、北朝鮮をイラク、イランと並べて「悪の枢軸」と決めつけ、朝鮮半島では「戦争の危機」が公然と語られる緊張が漂いました。

■進む危機回避

 こうした状況のなかでも、南北関係の進展は米の強硬政策に一定の歯止めをかけ、二月に訪韓したブッシュ米大統領は「北朝鮮を侵攻する意図はない」と明言しました。

 米の強硬政策のもとで、危機回避をめざす南北対話が進展しました。四月に金大統領の特使として訪朝した林東源・大統領外交安保特別補佐役と金総書記は、日朝、米朝の関係改善の方向を論議したといいます。

 韓国の外交関係者は、「小泉首相の訪朝は、韓国に続き日本が北朝鮮との首脳外交に踏み出したことに意味がある」と評価し「韓米日は北朝鮮政策の三国協調を続けているが、米国が強い影響力を持ってきた。日本が米朝関係の進展にも好影響を与えるよう期待したい」と強調しました。(面川誠記者)

 


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