2002年4月14日(日)「しんぶん赤旗」
野党対策からせんべつ、ゴルフ経費まで――。官房機密費のとんでもない使い方が明らかになったのに、首相官邸は、「個人的な文書で、調査する必要はない。十年前の話で、調べようがない」(福田官房長官)と、逃げに終始し、究明の姿勢はまったく見られません。小泉純一郎首相にいたっては、「十年前のことは覚えていない」と、まったく意に介さない口ぶりです。
日本共産党の志位和夫委員長が決定的な証拠を突きつけて明らかにしたのは、首相官邸が国民の税金からなる機密費を党略的・私的に流用していたという重大な事実です。
しかも、自民党の古賀誠前幹事長、民主党の江田五月参院議員など、受け取った側が、その事実を認めています。
“権力犯罪”ともいうべき税金の不正使用の事実がここまで明るみに出た以上、政府には、その実態を洗いざらい明らかにする責任があります。
まして官邸は、機密費を配った当事者であり、官房長官は官房機密費を扱う責任者です。その当事者が「調べようがない」と人ごとのようにいうのは無責任の極みで、政治腐敗の奥深い闇を温存することにほかなりません。
この問題は「十年前のことだから」などと、昔話で済ますわけにはいきません。
官房機密費の総額は、十年前もいまもほとんど変わりません。今年度予算でも十四億六千万円の巨額にのぼり、このほかに、外交機密費から毎年約二十億円を官邸に「上納」する疑惑も消えません。
しかも、官房長官が自由に使うことができ、領収書は不要、使途は公開しなくてもいいという仕組みは十年前もいまも同じです。
小泉首相は、ムネオ疑惑、加藤疑惑などが持ちあがるたびに「疑惑を持たれた政治家は、みずから説明することが重要だ」などと繰り返してきました。いま説明を求められているのは、まさに当事者としての小泉首相と官邸です。(鈴木誠記者)